新型コロナウイルスの感染拡大で、江の島をのぞむ神奈川県藤沢市内の海水浴場が今夏の開設を巡り、揺れている。昨夏は開設を見送った片瀬西浜・鵠沼海水浴場など三つの海水浴場は、今夏は開設を目指して準備を進めているが、「まん延防止等重点措置」の対象地域に指定され、「経済的リスクがあり、不安だ」とする声が関係者から出ている。
片瀬西浜・鵠沼海水浴場のほか、片瀬東浜、辻堂の三つの海水浴場は国内屈指の来場者を誇ってきた。昨夏は県が厳しい開設基準を示したため、感染防止策が実現不可能として開設を見送った。今年は県が感染防止策を緩和したことから開設準備を進めてきた。
状況が変わったのは、感染拡大により、藤沢市が重点措置の対象地域に追加され、今月12日から適用されたことだ。飲食店は酒類の提供を自粛することになり、仮に海水浴場の開設中、重点措置が適用されれば、海の家は飲食店に分類され、酒類の自粛を求められるという。ある海の家の経営者は「酒が提供できないとなった時点で絶対赤字になる。食べ物だけで採算はとれない」と話す。
それでも片瀬西浜・鵠沼海水浴場の設置者である組合幹部は「今年は万全の感染対策をして開設する。酒類提供の自粛が要請されれば応じる」と話す。すでに組合は海の家の建設工事に着手し、7月3日の開設に向け、準備を進めている。
片瀬東浜、辻堂の二つの海水浴場の設置者である二つの組合も開設の準備を進めているが、片瀬東浜の組合幹部は「感染状況が心配だ。海の家をやるにも不安は大きい。自分自身が感染すれば、店は営業自体ができなくなる。経済的なリスクは大きい」。辻堂の組合幹部は「もう少し、開設をするかどうか、待ちたいというのが本音だ。建設して赤字になったら意味がないと思う半面、海水浴場は公共的な側面があると思っている。赤字覚悟でやるしかないと考えている」と話す。
3つの組合と、支援を行う藤沢市などが26日、開設に向けて協議する。(秦忠弘)
最終更新日:5/25(火)11:15 朝日新聞デジタル