先進7カ国(G7)気候・環境相会合は21日、石炭火力発電の輸出支援停止を柱とする共同声明をまとめた。
二酸化炭素(CO2)回収などの対策を講じれば例外としており、日本はアジア諸国に石炭火力を輸出する従来方針を堅持する。CO2排出が多い石炭火力への国際的な批判は強まっており、日本の姿勢との温度差は否めない。
声明では、石炭火力への公的支援の「全面的な終了」に向け、年内に具体的な措置を講じると明記。支援終了の対象について「排出削減対策が講じられていない」設備と定め、各国政府の裁量で支援継続を認める条件が付いた。日本は昨年夏、支援対象の要件を最先端技術を活用した高性能設備に限定するなど厳格化しており、政府は声明の趣旨に抵触しないと判断している。
政府は資源に乏しい日本や、電力需要の急増が見込まれるアジアでは安価で安定的に電力を供給できる石炭火力の必要性は依然高いとの立場だ。経済産業省幹部はG7の結果について、「現在継続中の案件も含め対応を見直す必要はない」と説明。石炭火力の輸出を手掛ける電力業界関係者は「日本やアジアの事情が認められた」と胸をなで下ろす。
ただ、こうした主張が国際的な理解を得られる保証はない。石炭火力が地球温暖化の主因との認識は各国で共有されており、石炭火力輸出でCO2排出削減対策を講じたとしても欧州など国際社会からの批判は強まりそうだ。
最終更新日:5/23(日)21:51 時事通信