フォルクスワーゲン(VW)の「ゴルフ」は、初代が誕生した当時から世界の小型車の規範といわれてきた。トヨタの大衆車として1966年に誕生した「カローラ」は、累計販売台数で1997年にVW「タイプ1」(通称ビートル)を抜き、今日も世界での販売台数1位を続けているという。世界を代表する小型車の1台といって間違いないだろう。
国内においても、2001年度まで国内販売1位を33年間も維持し続け、2015年には国内販売台数の累計で1000万台を達成した。現在のカローラは、2018年にフルモデルチェンジをした12代目となる。
近年の上位人気車種の動向をみても、5ナンバー車の人気が根強いことがわかる。そしてこれまでカローラに乗り替え続けてきた人にとって、5ナンバー車であることの意味は大きい。そういう消費者にとって、前型とはいえ5ナンバー車のカローラが販売され続けているありがたみがあるだろう。しかし逆に、自動車メーカーにとっては生産工場の設備はもちろん、整備上の交換部品などについても、新旧あわせて揃える負担は大きくなる。トヨタの顧客を思う心が半端ではない側面を覗かせることにもなる。
日産には「ノート」があり、ホンダには「フィット」があるとはいえ、愛用してきた車種がサニーのようになくなったり、シビックのように大きくなりすぎたりして離れていった顧客もあったのではないか。既納客を大切にするトヨタの姿勢が、カローラの歴史のなかで際立つ。
■21世紀にふさわしい価値をカローラが提供できるか
1999年代以降、グローバル化の言葉がもてはやされたが、すべての商品に通じる話ではないはずだ。機能を拡張し大型化していくスマートフォンも、やがてその限界が見えはじめるだろう。用途に応じた細分化が行われることになるはずだ。そして細分化が進めば、何のためのスマートフォンであったかが忘れられかねない。
最終更新日:5/23(日)15:39 東洋経済オンライン