トヨタ自動車は22日、富士スピードウェイ(静岡県小山町)で開催の24時間耐久レースに水素エンジンを搭載した自動車で出場した。トヨタは水素エンジンを脱炭素の実現に向けた選択肢の一つとして位置付けており、レースを通じて実用化の課題などを洗い出す。
水素エンジンは、既存のエンジンと基本的な構造は同じで、ガソリンの代わりに水素を燃焼させる。エンジンオイルの燃焼に伴う分以外は二酸化炭素(CO2)を排出しない。水素と空気中の酸素を反応させ発電した電気でモーターを動かす燃料電池車(FCV)とは、原理が異なる。
レースは、市販車を改造した車両を使い24時間でサーキットを何周できるかを競う。出場した計51台のうち水素エンジン車はトヨタの1台のみで、他はガソリン車だ。
トヨタは、市販の「カローラスポーツ」を改造した車両で参戦。既存の排気量1・6リットルの直列3気筒ターボ(過給器)エンジンに手を加え、水素だけで走れるようにした。
トヨタによると、水素だけを燃料とした水素エンジン車によるレース参戦は世界初という。水素エンジン車は現時点でガソリン車よりも燃費が悪いため、レースで燃料補給の頻度や燃費改善につながる走り方などを検証する。
豊田章男社長もドライバーとして出走。スタートに先立つ記者会見で「水素社会、そしてカーボンニュートラルの実現に向けた世界初の試みを、ぜひとも応援いただきたい」と語った。
トヨタはFCVの「MIRAI」を販売しているが、既存のエンジン技術を生かせる水素エンジンの開発にも力を入れている。【和田憲二】
最終更新日:5/22(土)23:00 毎日新聞