スギHD謝罪に株主「おごりだ」

薬局大手のスギ薬局を経営する「スギホールディングス(HD)」(愛知県大府市)は19日、同県内で株主総会を開いた。新型コロナウイルスのワクチン接種で、同県西尾市民の杉浦広一会長(70)と妻の昭子相談役(67)の予約が優先的に確保された問題について、広一氏が「接種をお待ちの皆さまに不快な行為だった。全国の行政の方々の努力に水を差す結果になった」と陳謝した。「順番を待てば打てるのに(肺がんを患った昭子氏に関し)秘書が気持ちで動いた」と自身の指示は否定した。



 「株主の皆さまに多大なる心配をおかけしたことを深くおわび申し上げます」。株主総会の冒頭、広一氏が謝罪の言葉を発すると、起立した取締役が一斉に深々と頭を下げた。

 西尾市によると今年4月、同社の秘書から「会長夫妻は薬剤師。医療従事者の優先接種ができないか」などと繰り返し打診があり、副市長の指示で便宜を図り、5月10日の接種が予約された。報道機関の取材を受け、予約は即日取り消された。

 複数の株主によると、広一氏は「市に強く出たわけではないが、やや威圧的に取られた。か弱い女性秘書だが自らの意思でお願いした」と釈明。昭子氏が肺がんの手術後、社内ではビニールで仕切られたスペースで業務に当たっていることを明かした。

 今回の問題について株主から「おごりではないか。一回でもミスしたら信用が落ちる」と問われると、「この1週間学ばせていただいた。新体制で創業当時の原点に戻りたい」と答えた。創業者の広一氏は社内規定で代表取締役の定年を迎え、今総会で会長を退任した。長男の杉浦克典新社長は「何とか信用回復できるよう進めたい」と話したという。

 参加した株主からは「謙虚に反省していることが伝わった」(50代女性)と肯定的な意見もあった一方、厳しい声も出た。名古屋市の40代男性は「きちんとした手続きを踏めばいいのに、秘書が単独でやったという説明は逃げではないか。話を聞いていて腑(ふ)に落ちなかった」。同市の60代男性は「秘書1人でできるわけがない。上司(幹部)がどう関わったのか。再発防止策についても、一切言及がなかった。地域密着の企業と言いながら、これではだめだ」と批判した。

 総会には株主487人が参加。同社は「感染リスクを少しでも低減するため」として短時間で閉会することを要請し、約1時間で終了した。【佐久間一輝、酒井志帆】

最終更新日:5/19(水)20:10 毎日新聞

引用:https://news.yahoo.co.jp/pickup/6393758

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