企業への除菌指導 依頼増加

新型コロナウイルス感染の第4波が広がる中、改めて除菌などの予防対策が注目されている。清掃専門業者らでつくる業界団体によると、企業から寄せられる除菌方法の指導依頼も増加傾向で、従業員らが適切な拭き掃除の方法などを学び、店舗清掃に生かしているという。企業側の従業員を感染から守るという責任感に加え、「利用者の安心にもつなげたい」との考えが、対策の徹底にもつながっている。その対策の基本は家庭でも生かせる。(川畑仁志)



 「正しい除菌の方法を店舗で実践して、お客さんにも伝えてあげてください」

 東京都国分寺市のガソリンスタンド「アポロステーション セルフ立川通りサービスステーション」で4月末、一般社団法人「日本特殊清掃隊」理事の神野敏幸さん(36)=家財整理・特殊清掃「レリック」(愛知県)代表=が店員らに呼びかけた。

 日本特殊清掃隊によると、企業からの除菌方法の指導依頼は第4波につながる感染拡大が確認され始めた今年3月以降に増加している。1月は8件、2月は12件だったが、3月24件、4月30件で、5月もこれを超える勢いで予約が入っているという。

 神野さんは昨年、集団感染が発生したクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」の船内消毒に参加。現場で得た経験を交えて店員らに語りかけた。「船内で消毒剤の噴霧は行わなかった。吸い込むと有害で、吹きかけることでウイルスが飛散してしまう恐れがあるためだ」と説明。アルコールスプレーなどの薬剤はタオルなどに含ませてから拭くよう求めた。

 店員が給油するフルサービスのガソリンスタンドと違い、セルフ式の同店では利用者が給油ノズルを扱い支払いも精算機で行うため、不特定多数の接触がある。神野さんは「人の手が触れる場所が拭き掃除のポイント」と指摘し、「ウイルスを残したり戻したりしないように一方向に拭き、タオルは往復させない。高さがあるものは薬剤が垂れてしまわないよう上から下に」と強調した。

 店員からドアノブの拭き方について質問が出ると、神野さんは「タオルに薬剤を含ませ、握るようにしてぬぐい取る」と回答。「(油種や給油量を選ぶ)タッチパネルもごしごしと拭かず、上から下に1回で拭ききるようにすれば時間もかからない」とアドバイスしていた。

 同店では店内スペースのソファなどにウイルスを不活化させる制菌加工を施すなどしている。加藤淳也店長(38)は「感染リスクはできるだけ下げたい。ウイルスは見えないのでやみくもに拭くということを続けてきたが、目からうろこだった。お客さまに安心して気分よく使っていただけるよう指導を受けた方法を継続していきたい」と話していた。

■感染予防マニュアル スマホアプリで公開

 日本特殊清掃隊は家庭向けの除菌方法を動画で紹介するスマートフォンアプリ「感染予防マニュアル」を公開している。これまで米グーグルの基本ソフト(OS)「アンドロイド」版のみだったが、4月に米アップルの「iOS」版もリリースした。

 家庭向けは無料で、ダイニングやリビングなど住まいの部位ごとに拭き掃除などの方法を動画と文章で紹介している。また、オフィスや飲食店、工場、学校でのシチュエーションに応じた注意点をそれぞれ解説する有料版もある。

 アプリには神野さんと感染を経験した男性との対談動画もある。男性は、5日間のホテル療養生活で部屋から出るのはロビーに弁当を取りに行くときだけで、看護師による体調確認は内線電話でのやり取りだったことなどを語っている。

最終更新日:5/17(月)11:47 産経新聞

引用:https://news.yahoo.co.jp/pickup/6393543

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