労働組合「首都圏青年ユニオン」(東京都)は13日に記者会見し、阪急阪神ホールディングス(HD)の子会社「阪急阪神ホテルズ」(大阪市)が、運営するホテルで働くパート従業員219人を3月末で雇い止めしたことを明らかにした。同ユニオンによると、200人規模の雇い止めは珍しいという。
会見には、雇い止めされた60代男性が出席。男性は首都圏にあるホテルで2019年4月から、3カ月の契約を繰り返しながら夜間のマネジャーとして勤務し、フロントでの受け付け業務や接客、夜間の館内巡回などを担当していた。同居する母の介護のためフルタイムでの勤務は難しく、週1回、午後5時から翌朝9時まで働いていた。新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、昨年3月からホテルは一時休業となり、男性は休業手当を受給しながら、仕事は待機状態となった。
昨年12月の契約更新時に渡された契約書には、今年3月末で契約を終了する内容が盛り込まれていた。男性は「ほかに選択肢はなく、仕方なく契約書にサインした」と話す。2月に契約終了を告げる予告通知書が届き、退職を拒否したが雇い止めされた。
男性は「会社から『非正規は切っている』と言われ、差別を感じた。非正規労働者は雇用の調整弁ではない。雇用調整助成金を活用するなどして、企業としての責任を果たしてほしい」として雇い止めの撤回を求めた。
阪急阪神HDは3月、新型コロナ感染拡大による業績悪化から、子会社の阪急阪神ホテルズが運営する計六つのホテルの営業を順次終了すると発表。ホテルの従業員数を現在の約2300人から800人減らす計画を明らかにしている。同社は「可能な限り雇用の維持に努めてきたが、コロナによる厳しい経営状況で、誠に遺憾ながら労働契約を終了した。理解いただけるよう誠実に交渉を続けていきたい」とコメントした。【石田奈津子】
最終更新日:5/13(木)21:14 毎日新聞