オンラインで車販売 各社本気

新型コロナウイルス感染症の収束が見通せない中、自動車メーカー各社は販売店での対面を基本としてきた車の売り方を多様化している。オンラインでの商談や販売を強化し、接触機会の低減に取り組む。一方、自動運転など先進技術の搭載が広がり、新たな運転を体感する試乗の重要性も高まる。顧客の安全安心や利便性向上への追求は続く。



 ホンダは今秋に国内で4輪車のオンライン販売を始めるため、4月に新会社「ホンダセールスオペレーションジャパン」を設立した。新車の検討、見積もり、契約といった購入手続きをオンラインで完結できる販売サイトを立ち上げる。支払いもサイト内でできるようにする。引き取りは販売店などに来てもらう。新車が対象で、対象車種は検討中としている。

 新会社は販売会社の業務支援も担う。各販社がそれぞれ手がける経理や総務といった間接業務を新会社が一括して担い、各販社の業務負担の低減や効率化につなげる。

 コロナ禍では対面での商談に抵抗感を持つ消費者もおり、オンラインを活用した車の販売は広がる。トヨタ自動車は2020年9月、中古車をオンラインで注文できるサービス「トヨタ中古車オンラインストア」を始めた。同社販売店が扱う一部中古車が対象で、見積もりから契約までオンラインで完結できる。来店することなく、24時間365日注文できるのも魅力だ。

 サイトでは内装を含めて車両の画像を掲載。決済は銀行振り込みと分割払いに対応する。登録に必要な関連書類を郵送で受け取り、必要事項を記入して返送した後、約2―3週間後に納車される。

 サイトには小型車やスポーツ多目的車(SUV)など約250台を掲載。30万円台程度の低価格帯から取り扱いをはじめ、価格帯を順次広げる。トヨタ系全体で年約40万台の中古車を販売しており、同サービスで将来的に年5万台の販売を目指す。

オンライン販売の活用が広がる米国では、日産自動車が20年12月、新車の購入をオンラインで完結できるサービス「日産@ホーム」を始めた。試乗の予約、購入手続き、受け取りなどに対応し、来店することなく購入できる。これまで5州の主要販売店に試験導入し、オンライン経由の顧客の販売成約率はほぼ2倍になったという。今後、順次全米の販売店に導入を広げる。

 三菱自動車も米国で24時間利用できるオンラインのショールーム「クリックショップ」を始めた。各販売店の在庫の状況を確認できるほか、試乗の予約、見積もりなどを受け取ることができる。商談に関わる手続きの大幅な簡素化が可能で、最終的な契約は店舗で実施する。

 インドネシアでは商用車メーカーがオンライン販売を活用した取り組みを進めている。東南アジア地域は日系商用車メーカーにとって中核市場だ。特にインドネシアはシェアが高い。インドネシアの商用車市場は日系メーカーが約98%と圧倒的なシェアを占める。

 インドネシア最大の電子商取引(EC)サイト「トコペディア」。国民の3人に1人が利用すると言われている。同サイト内にオンラインストアを開設したのは日野自動車と三菱ふそうトラック・バスだ。

 日野自は20年7月にオンラインストアを始めた。新型コロナが広がる前からオンライン販売を計画していた。販売台数も好調だ。同年10月は約30台だったのが、21年3月には4倍以上の約130台に伸びた。

 三菱ふそうは20年9月にインドネシアのオンライン販売に着手した。過去に海外でオンライン販売をした実績はあるが、コロナ禍を理由に開始したのは同国が初めて。専用ストアで注文したトラックは、配送か店頭受け取りを選択できる。

 インドネシア市場は日系商用車メーカーの最重要市場だ。三菱ふそうは50年間、商用車市場のシェアトップで、現在は約50%を握る。車種別のシェア(19年度)では小型トラックは三菱ふそうが、中型は日野自が首位だ。

 ただ目下、新型コロナの広がりにより販売活動も影響を受ける。ウィズコロナにより非接触やソーシャルディスタンス(社会的距離)のニーズも広がる。事業環境が激変するなか、オンライン販売の重要性が高まっている。

最終更新日:5/4(火)11:27 ニュースイッチ

引用:https://news.yahoo.co.jp/pickup/6392416

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