防衛産業から撤退する大手企業が増えている。戦闘機選定が混迷した末に、F-35Aが選定されたことで、横浜ゴムや住友電工が戦闘機生産から撤退、その後、戦闘機などの射出座席を生産していたダイセルは完全に防衛産業から撤退した。コマツは装甲車製造から撤退を決定。同社は砲弾も製造しているが、これも戦車や火砲の数が前防衛大綱から現防衛大綱になって半減することが決まっており、同社の撤退は時間の問題と見られている。
国産機銃の価格は外国製の約5倍であり、財務省からも改善あるいは輸入に切り替えることをたびたび要求されている。また海自は2016年に住友重機械工業のMINIMIが高いために、外国製に切り替えることを検討したこともある。
陸自は現在M2および、74式機銃の後継も検討中であり、これらが外国製に切り替わる可能性は大きい。また機関砲や火砲を生産している日本製鋼所は機銃ビジネスに興味を持っていると同社の関係者は語っている。同社は近年自社開発のRWS向けに動力付きの20mm機関砲を開発し、海上自衛隊に提案したが、この機関砲は採用されなかった。
比較的売り上げを維持できているのは日本製鋼所だけだ。だが、先に述べたように戦車・火砲の定数は半減する。また同社の開発したRWS(リモート・ウェポン・ステーション)は海自には採用されたが、陸自の新型装甲車には採用されないと見られている。
防衛予算が大きく伸びることがなく、装備の高度化によって維持整備費用が装備の調達費を上回っている。しかも少子高齢化で将来の自衛隊の縮小は明らかだ。厳しい国際市場で戦うことなく、国内の自衛隊、海保、警察などが顧客である国内火器メーカーは価格が海外の製品の5~10倍であり、性能的にも劣ることが多い。
最終更新日:4/15(木)12:12 東洋経済オンライン