三井製糖と大日本明治製糖が経営統合して誕生した「DM三井製糖HD」が4月1日付でスタートした。コロナ禍も加わり一層厳しい経営環境にある砂糖業界で「100年に1度」(森本社長・三井製糖)の経営統合は、次の時代に向けた業界再編の狼煙が上がったことも意味する。
加えて糖価調整制度(国産糖の保護制度)を担う民間企業としての経営基盤強化や、製糖企業の未来像、海外展開などさまざまな期待と関心を集める。
同HDは同時に、国産糖(ビート)を生産する日本甜菜製糖とも資本業務提携を行った。両社長に同HDスタートに際し、独占インタビューした。
【解説】
日本の砂糖市場規模は約4000億円弱と言われ、三井製糖、大日本明治製糖、日新製糖、伊藤忠製糖の4社でシェア7割を占める。これに続くのが塩水港精糖、フジ日本精糖、東洋精糖などとなっている。
現在の砂糖消費量(主に白糖、精製糖)は年間171万9000t(農水省)で平成の30年間で約28%減少し、令和に入っても前年度は6%減少した。コロナの影響が大きく、3年分の下落率に匹敵する。当然ながら工場稼働率は下がり、もはや単独で生き残ることはかなり厳しい状況だ。
また、精製糖には国産糖(北海道のてん菜、沖縄・鹿児島のさとうきび)の保護財源(約500億円)が売価に反映されている(糖価調整制度)。北海道の輪作体系を守り、沖縄・鹿児島の数々の離島における主要産業を保護し、国境を守っている。
しかし、国内の砂糖消費が減れば輸入糖が減り財源資金の負担が高まる。すると競合甘味料(異性化糖、加糖調製品、高甘味度甘味料)にさらにシェアを奪われるという悪循環をコロナが加速させている。
その中での三井製糖と大日本明治製糖の経営統合は経営基盤の強化と国産糖保護の意味で大きな一歩であり、さらに製糖企業の将来像を見るうえでも関心を集めるものだ。
最終更新日:4/5(月)9:25 食品新聞