富士フイルムホールディングス(HD)は31日、約21年にわたって経営を率い、事業構造の転換を進めた古森重隆会長兼最高経営責任者(CEO)(81)が最高顧問に退くと発表した。社長兼CEOには後藤禎一取締役(62)が昇格。助野健児社長(66)は代表権のある会長兼取締役会議長に就く。6月の定時株主総会後の取締役会で正式決定する。
古森氏は31日に東京都内で記者会見し、退任を決めた理由について「私自身がやるべきことはほぼ成し遂げた」と語った。
古森氏が社長に就任したのは2000年。デジタル化の波が押し寄せ、収益の柱だった写真用フィルムの需要が減少に転じた年だった。「急速な勢いでフィルムカメラがデジタルカメラに(置き)換わっていった」中で、「何とか生き延びる方法はないか」と知恵を絞り、事業構造の多角化に向けた業態転換を断行した。
医療機器・医薬品を手掛けるヘルスケア分野と事務機器分野を収益の柱に育成。19年には米ゼロックスの買収を断念し、同社との共同出資だった富士ゼロックスを完全子会社化した。21年3月期は、新型コロナウイルス禍の中で過去最高の純利益を計画しており、古森氏は「もう大丈夫。一流企業としてやっていける」と強調した。
後藤氏は「(会社の)未来をつくることが私の使命だ」と抱負を表明。20年代半ばにヘルスケア事業の売上高を1兆円にする方針を示した。
最終更新日:3/31(水)19:49 時事通信