酒蔵新設ラッシュ 沸く北海道

北海道が日本酒の酒蔵の開業ラッシュに沸く。約1年の間に3か所誕生し、今後も新設が予定されている。中には1500キロ離れた岐阜県から、老舗が蔵ごと移転。店では売り切れが相次ぐほど、人気を博している。

 かつて、日本酒造りに適した土地ではないと言われていた北海道。温暖化の影響や酒米の品種改良で変わり始めた。

西日本とは対象的に北海道米は存在感を増している。かつて「北海道米はまずい」と言われてきたが、「ななつぼし」や「ゆめぴりか」などの登場で、食用米はいまや人気ブランドとなった。

 耐冷性を増すため始まった品種改良の成果で、酒米にも波及した。2000年の「吟風(ぎんぷう)」を皮切りに、2006年に「彗星(すいせい)」が誕生。2014年には「きたしずく」が加わった。吟風は甘みが強く香り高い酒に向く。彗星はアルコール度数の高い辛口に適し、きたしずくの特徴は吟風や彗星の中間に位置する。多様な酒米がそろってきた。

長らく11蔵の体制が続いていた北海道に、新たな酒蔵が誕生したのは2017年のこと。東川町の隣町、上川町に「上川大雪酒造 緑丘蔵(りょっきゅうぐら)」が、三重県の休眠酒蔵を買収してオープンした。

 その後、三千櫻酒造のほかにも、2021年2月には北海道南部の七飯町に「箱館醸蔵」が誕生。北海道内の酒蔵は15に増えた。

 酒蔵は大学のキャンパスにも誕生した。2020年4月、上川大雪酒造が帯広市の帯広畜産大学に「碧雲蔵(へきうんぐら)」を創設した。杜氏の川端慎治さんが大学の客員教授に就任。学科によっては必修科目になり、インターンとして働くと単位も修得できる。

 上川大雪酒造は函館市の函館高専と連携し、2021年10月にも新たな酒蔵を完成させる。北見市の北見工業大学との連携も計画中。狙いは人材育成だ。

新生・三千櫻の評判は上々だ。札幌市西区の取扱店「地酒屋 醸」では、仕入れたら即完売という状況が続いている。「今までの北海道の日本酒とは、ちょっと違う。香りも、うま味も上品」。社長の矢田毅さんは驚く。

 日本酒ソムリエ、鎌田さんのススキノの店でも三千櫻は好評だ。「きりっとした感じが特徴。輪郭のはっきりした香りで、エレガントな感じがする。歴史を積み重ねていただけあって、北海道の日本酒造りに一石を投じるくらいの高品質」と太鼓判を押す。

最終更新日:3/30(火)17:07 北海道ニュースUHB

引用:https://news.yahoo.co.jp/pickup/6389282

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