北海道放送(株)視聴者からの疑問や悩み、暮らしの中のハテナ?を調査する「HBCもんすけ調査隊」です。
突然ですが、缶詰のフタって2種類ありますよね。手で簡単に開けられるものと缶切りが必要なもの。「缶詰めのフタの疑問」を調べて来ました。
今回、缶詰について疑問を寄せてくれたのは、北海学園大学3年生の田頭蓮さん。ふだん、果物の缶詰を食べると言いますが…
「缶切りを使わないと開けられない缶詰めがまだ売られている理由がわからない。簡単に開けられる方を買うと思います」(北海学園大学3年・田頭蓮さん)
缶切りを使うのは、小学生のとき以来という田頭さんにチャレンジしてもらいました。
「あれ?」(田頭さん)
まずは、缶にしっかり合わせてリズム良くいこうよ…焦らなくていいから…けがしないでよ!…試行錯誤すること5分。なんとか開けることができました。
「やっぱり昔のことだったので、正しい開け方がぴんと来なかったけど、手間がかかっちゃいますね」(田頭さん)
では、こちらは…
「あ~簡単ですね、すぐに開きましたね。(どっちがいい?)断然こっち」(田頭さん)
缶切りを使わないと開けられない缶詰。どうしてまだ作られているのでしょうか?
まずは現地調査から。スーパーで売られている缶詰のうち、缶切りが必要なものはどのくらいあるのか、数えてみると…
「数え終わりました。スーパーに売っていた93種類の缶詰のうち、缶切りが必要なものは5種類だけでした」(調査員)
売っている数も少なく、ちょっと不便なフタ。どうして、まだ作られているのか、答えを探しに向かったのは、海の街のあの工場です!
スーパーで売られている缶詰。開けるために缶切りが必要なものと、手だけで簡単に開けられるもの、2種類あるのはなぜ?真相を探るため、私たちが向かったのは…
小樽にある北海製缶です。小樽は昔から水産の街として栄え、魚を加工する缶詰の技術が発展しました。缶詰、というと、中に入った食品を思い浮かべますが、ここで作っているのは缶そのもの!年間1億3000万個もの缶を作り、食品会社などに出荷しています。
「フタは缶を開けやすくするために、ミゾを作って、ここから切れるように」(北海製缶小樽工場 品質担当マネージャー・本間靖雄さん)
プルトップ式の缶詰のフタを見てみると、うすーい線が2本入っているのが確認できます。
内側の線は小さな力でも開けられるようにサポートする浅いミゾ。外側の線が実際にフタが開く深いミゾです。
フタは0.2ミリのアルミ製。ここに髪の毛一本分の厚みを残してフタを開けるためのミゾを作っているんです。
こうしたプルトップ式の缶詰は、1970年代後半からコンビニエンスストアで売られ始めたのをきっかけに全国に広まりました。
今、北海製缶で作られる缶のうち、8割がプルトップ式のフタなんだとか!それでも2割は缶切りが必要な缶を作っているなんてやっぱり、こっちのほうが長持ちするの?
「性能面ではさほど変わりがないです。ただ、衝撃とか落下したときに開けやすいふた=イージーオープンエンドに比べると強度が強い」(北海製缶小樽工場 品質担当マネージャー・本間靖雄さん)
大きな缶や中身が重い缶は、運ぶときの衝撃に耐えられるよう缶切りを使わなければいけないフタの場合が多い、というわけです。
「自衛隊から災害のところに投下して食料を配給するときとかは、イージーオープンエンド(プルトップ式など)は落下の衝撃で壊れてしまう可能性があるので、開かないフタが望ましい」(北海製缶小樽工場 品質担当マネージャー・本間靖雄さん)
古くから私たちの生活にあった缶詰。日ごろ、手軽に食べたい時も災害で過酷な状況に置かれたときも、用途に合わせて使い分けられていることがわかりました。
3月23日(火)「今日ドキッ!」午後6時台
最終更新日:3/24(水)6:51 HBCニュース