雇調金期限切れ後リストラ増?

新型コロナウイルスの影響で京都の雇用情勢の悪化が長期化している。解雇・雇い止めの数は増え続け、ハローワークには大勢の人が相談に訪れている。雇用を維持して従業員を休ませた企業に支給される雇用調整助成金(雇調金)の12月末までの特例措置延長は、解雇の防止に一定の効果を発揮しているが、労働者からは期限の切れた来年以降のリストラを懸念する声が高まっている。



■従業員「コロナ理由、不当」

 「コロナ禍の負担は結局、下々の庶民にいってしまうのか…」。京都市内の百貨店のアパレル・雑貨売り場で働く派遣社員の女性(51)=京都府宇治市=は、諦め交じりに漏らす。

 客が減った百貨店では女性の仕事を減らされ、月13万円あった月収は半分以下になった。コロナ禍で食品配送業の夫の給料も下がったが、大学生と高校生の子ども2人の教育費や養育費は変わらず家計にのしかかる。ハローワークでは週5日の事務職を希望しているが、今は紹介を受けてパソコンの専門学校に通い、「スキルを身に付けて何とか次を見つけたい」と話す。

 総務省によると、9月の近畿の完全失業率は3・3%で、前年同月より0・6ポイントの上昇にとどまった。コロナ禍による不況下でも急激に悪化していないのは、雇調金などの支援策の効果とみられる。

 しかし、正社員にも整理解雇の荒波は着実にしのび寄る。ワタベウェディング(京都市中京区)やシライ電子工業(右京区)などの上場企業も社員の希望退職を募るなど、コロナの長期化で雇用の維持が困難になった企業が目立ち始めている。

 「コロナを理由に気に入らない従業員を辞めさせようとしているとしか思えない」。市内の芸能関係の会社に勤める男性は憤る。緊急事態宣言が発令された4月から一時帰休しており、休業手当も受け取りながら日々の生計を立てている。この会社は雇調金の特例措置が切れる来年1月以降に、従業員の半数以上をリストラする計画を進めているという。

 だが、男性は「コロナ禍で中断していた仕事も徐々に戻ってきている」と人員整理は不要と主張。「今後の売り上げ予想や会社の財務状態の説明もなく、解雇ありきで話を進めるのはおかしい」と反論する。

 こうした相談の受け皿を労働組合が担っている。京都総評のフリーダイヤルには解雇・雇い止めに関する相談が相次いで寄せられている。ただ、4、5月に比べると少ないのが現状という。

 柳生剛志事務局長は「『コロナだから仕方ない』とのあきらめムードが働く人の間に広がっている」と危ぶむ。「雇調金が切れた時に解雇が急増するのが一番恐ろしい」と、雇調金の特例措置のさらなる延長の必要性を訴える。

最終更新日:11/4(水)19:16 京都新聞

引用:https://news.yahoo.co.jp/pickup/6375534

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