半導体大手ルネサスエレクトロニクスは19日、主力の那珂工場(茨城県ひたちなか市)で火災があったと発表した。自動車向けなどの半導体をつくる生産ラインに被害が出ており、一部で稼働を止めている。操業停止が長引けば、自動車向け半導体の世界的な供給不足に拍車をかける恐れがある。
同社によると、2棟ある生産棟のうち主力の生産ラインがある建物の1階で19日午前2時47分ごろに出火した。消防などが出動し、午前8時12分ごろに鎮火を確認した。精密な工程を担うクリーンルームの設備などに被害があった模様だが、詳しい状況は確認できていない。20日に警察や消防などが現場検証し、出火原因などを調べている。
火災のあった生産棟では、ほかの階も含めて火災発生から稼働を止めている。「復旧の見通しは不明」(広報)だとしている。もうひとつの生産棟では製造や出荷に支障は出ていないという。
火災があった生産棟は、同社で最先端の半導体をつくっている。生産能力も最大規模だ。自動車向けの半導体が世界的に不足していることを受けて、海外の台湾積体電路製造(TSMC)などに委託していた半導体の一部を自社生産に切り替え、その分の製造も担っていた。生産再開まで時間がかかれば、半導体不足の影響を受けている自動車の生産にさらなる打撃となる恐れがある。(鈴木康朗)
最終更新日:3/20(土)16:46 朝日新聞デジタル