ホンダが造った新駅 何が特別

東武鉄道の東上線に10月31日、新駅の「みなみ寄居駅」が開業した。同社としては鬼怒川線の東武ワールドスクウェア駅(2017年7月22日開業)以来3年ぶり、東上線では、つきのわ駅(2002年3月26日開業)以来18年ぶりの新駅となる。



 駅名は「寄居町の南側に位置する駅としてわかりやすく、また親しみを込めて“南”をひらがなで表記した」(同社)という。が、「みなみ寄居」よりも注目度が高いのは副駅名の「ホンダ寄居前」。その名が示す通り自動車大手、本田技研工業(ホンダ)の埼玉製作所寄居完成車工場に隣接する。ホンダが駅設置を打診し、整備費用を全額負担。東武で初めての民間企業による請願駅となった。

■工場とは連絡通路で直結

 みなみ寄居駅は1面1線の単式ホーム。改札の外の3階にホンダ寄居工場への連絡通路が設けられている。工場に向かわずに駅前に下りる出口はあるが、すぐ近くに民家はなく、細い道路を通って国道へ出るだけでも700~800mほどの距離がある。

 東武は「駐輪場も寄居町が用意しているので自転車で来てもらって電車で買い物に出かけられる」(髙野寿久鉄道事業本部副本部長)と周辺住民へのメリットも強調する。駅舎の外観については「ホンダの施設と周辺の自然に調和するようにこだわった」という。

そのうえで、駅周辺を桜の名所とすべく、ホンダと地域のボランティア団体で植樹をしているといい「数年後には駅や車窓からピンクに染まる桜を一望できるのではないかと楽しみにしている」と話す。また、隣接する小川町の松本恒夫町長は「地域活性化の推進のために沿線地域をつなぐ東上線の果たす役割はますます重要になってくる」と期待を寄せた。

 東武も工場勤務者などの利用促進に向けた検討を進めていくという。現時点で具体策は明らかにしていないが、東上線沿線でのマイカーと電車を組み合わせて通勤する「パークアンドライド」などがアイデアとして考えられそうだ。朝の東上線は下り列車も、越生線沿線の学校への通学客でにぎわう光景がみられる。“ホンダ寄居前”の開業で小川町駅以北の人の流れがどう変わるのか。新駅が本領を発揮するのはこれからだ。

最終更新日:11/3(火)5:01 東洋経済オンライン

引用:https://news.yahoo.co.jp/pickup/6375440

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