JRグループが今日2021年3月13日(土)、ダイヤ改正を行いました。
今回のダイヤ改正では、特急「踊り子」などの185系が定期運用を終了し、秋田・青森エリアではキハ40系ディーゼルカーが定期運用を終了するなど、国鉄時代の車両がまた姿を消していきますが、特筆すべき新車のデビューなどはありません。JRがコロナ禍で過去最大の赤字に陥るなかの、「未曽有の大減量ダイヤ(運転本数の大幅削減)」が最大のポイントでしょう。
コロナ禍による利用減少などを受け、JR東日本の首都圏エリアでは終電時刻が最大15分から35分程度早くなるほか、路線によって初電時刻が遅くなります。日中の減便も行われます。同じくこの3月にダイヤ改正を行う私鉄でも、同様の動きです。
また、本数が約1割削減される九州新幹線、一部列車が曜日により運休になるJR北海道の特急など、通勤・通学の列車も、それ以外の列車も、広く減量の方向になっています。
日本の人口減少や人手不足から、コロナ禍がなかったとしても、中長期的にダイヤは減量される方向性だったと見られますが、JR西日本の長谷川社長が「10年後に想定していたあまり来て欲しくない未来が突然あらわれた」と話すように、それがコロナ禍で一気に進行。今回の「大減量ダイヤ」へ至った具合です。
終電の繰り上げや減便は、分かりやすいサービスの低下です。鉄道会社としては実行しづらいところがあるなか、コロナ禍で、いわば社会的な了承が得られることから、一気に進行した感もあります。
もしコロナ禍が落ち着いたら、終電の時間は戻るのでしょうか。
今回の終電繰り上げは、人手が不足している夜間工事において、工事時間の拡大による効率化、作業員の働き方改革推進を図ることも理由に挙げられています。元に戻せるほどにこの課題を解決することの難しさを考えると、今回の「未曽有の大減量ダイヤ」が今後の常態、ニューノーマルになる可能性が高いかもしれません。
今回のダイヤ改正は、「ワンマン化」「自動運転」もポイントに挙げられます。
首都圏でも水戸線、内房線、外房線など、運転士のみが列車に乗務するワンマン化が進行します。
また常磐線(各駅停車)の綾瀬~取手間では、ATO(自動列車運転装置)を導入。JR東日本では初のもので、従来通り運転士と車掌が乗務しますが、将来的にはワンマン運転、また国家資格を持つ運転士は乗らない「ドライバーレス運転」が目指されます。
JR九州も2020年12月から同様の「ドライバーレス運転」を目指す実証運転を行っているなど、今後の人口減少や人手不足が見込まれるなか、列車の運行に関わることのさらなる効率化、省力化がまた一歩、今回のダイヤ改正で進みます。
ダイヤも運行システムも全体的に収縮していく流れですが、新しい技術を使って効率化される面もあるため、必ずしも悪い話ではありません。固定費が大きい鉄道でそれが削減できれば、サービスの維持向上にもつながります。
一方、今回のダイヤ改正における明るい話としては、新幹線の上野~大宮間で最高速度が110km/hから130km/hにアップし、所要時間が1分短縮されることが挙げられます。わずか1分ですが、将来的に新幹線が札幌や福井県の敦賀までさらに延びる(所要時間が増える)なか、1分でも短いことは価値があります。
また、国鉄型車両の引退は寂しい話ではありますが、新型車両の導入になるため、利用者にとっては明るい話でしょう。
最終更新日:3/13(土)16:19 乗りものニュース