大手居酒屋 1年で873店減少

チェーン展開する大手居酒屋の店舗数が大幅に減っている。居酒屋を運営する上場主要13社の1年間の飲食店舗数は、2020年12月末で前年同期から12.5%減ったことが、東京商工リサーチの調査でわかった。
 個人経営の飲食店などに比べ、大手が展開する店舗は面積が広く、スタッフ数も多い。都心部の店舗は、ランニングコストが大きな負担になっており、店舗営業を継続するより、見切りをつけて「スクラップ」を選択しているようだ。2021年1月の再度の緊急事態宣言など、取り巻く環境は厳しさを増しており、学生や主婦などのアルバイト、パートの雇用環境の悪化だけでなく、取引先への発注量の減少、都心部の空きテナントの増加など影響はさらに広がっている。

2021年の正月明け、1都10県に再度の緊急事態宣言が発令された。13社の従来型の居酒屋の一部では店舗撤退の動きがさらに加速する一方、テイクアウト店やスイーツ店を新規出店する企業もみられる。
 JFLAHDは、子会社で展開する高級チョコレート店の新店舗を3月、名古屋の百貨店にオープンした。また、鳥貴族ホールディングスは、新規事業のチキンバーガー店「TORIKI BURGER(トリキバーガー)」を8月にオープンする。
 従来型の居酒屋業態の店舗は、多くの集客が望めるのと同時に、利益率の高いアルコール飲料の消費も期待できる。このため、雇用への寄与に加え、食品や飲料などを扱う卸業者やメーカーなどの取引先は多い。コロナ禍で、居酒屋チェーンなどは営業時間短縮の要請などで営業面は直撃を受けている。このため、雇用調整助成金の特例措置を積極的に活用しており、同措置の期間延長は一定の効果があるとみられる。
 一方、緊急事態宣言の再発令による外食控えにより、2021年1月の総務省の家計調査では、2人以上の世帯での外食への支出は前年同月比42.9%の減少と状況は依然として厳しい。長引く時短営業の影響の影響により同調査では2020年3月から11カ月連続で、前年同月を下回る水準で推移している。
 緊急事態宣言の終了後はGo Toトラベル・イートに期待がかかるが、都心部を中心に今春は歓送迎会などの宴席、会合は引き続き自粛傾向とみられ、コロナ以前の水準までの需要回復には時間を要する。さらに、都心部を中心にテナント賃料などの月々の固定費負担も重く、店舗撤退の動きは今春も避けられない。スクラップによる繁華街の空洞化の懸念も高まるなか、感染防止、需要喚起の“板挟み”状態は長引くものとみられ、各社は当面我慢の経営が続きそうだ。

最終更新日:3/12(金)12:17 東京商工リサーチ

引用:https://news.yahoo.co.jp/pickup/6387501

その他の新着トピック