神戸製鋼所(神戸市中央区)は5日、執行役員についていた専務、常務の役位を廃止するなどの経営刷新策を発表した。経営の重要な決定や監視の機能は取締役会に集中させて、執行役員は効率的な業務の実行を担う。過去の不正事件からの信頼回復を目指す社内組織も刷新するなど、企業統治の透明化を進めて経営基盤を強化する。(森 信弘)
専務、常務の役位の廃止は4月1日付。米中貿易摩擦や新型コロナウイルス感染拡大で世界経済が低迷するなど、経営を取り巻く環境は激変しており、現場を指揮する執行役員の責任や制約を減らした上で実務権限を委譲し、機動性を高める。
執行役員の基本報酬は役位で決めていたが、役割と職責に応じた新たな報酬ランクを設ける。事業部門長は加算する。
取締役会は16人で構成しているが、6月下旬の株主総会後、素材・機械・電力の各事業の責任者を外して13人体制とする。取締役会の諮問機関として「コーポレートガバナンス委員会」を新設する。
また、経営審議会の補佐機関として「サステナビリティ推進委員会」や「リスクマネジメント委員会」を設け、法令順守プログラムの一元的管理などに取り組む。
2017年10月に発覚したアルミニウム製品などの検査データ改ざん事件を契機にできた「信頼回復プロジェクト」は「信頼向上プロジェクト」に再編し、顧客や社会に役立つ課題の達成を目指す。同社広報は「事件を風化させず、引き続き信頼の向上に努める」と話している。
最終更新日:3/6(土)10:01 神戸新聞NEXT