6袋1480円のポテチ販売 猛反対も

慢性的に続く物価高に歯止めが利かない。長年、子供のおやつとして愛されてきたポテトチップスも、いまや気軽に購入するのがためらわれる価格だ。そんな時世を見越して、いち早くプレミアムなポテトチップスの展開を進めてきたのが、ポテトチップス業界2位の湖池屋だ。2024年5月から展開している「湖池屋プライドポテト 日本の神業」シリーズでは、これまで少なかった30~50代の女性層からの支持も獲得し、新しい鉱脈の開拓に手応えを語る。



●ポテチは「1袋平均200円」時代へ

 2024年1月に総務省統計局が発表した「小売物価統計調査」によると、ポテトチップス1袋あたりの価格は全国平均197円となった。また、スナックメーカー最大手のカルビーは、24年6月1日納品分から3~10%程度値上げする価格改定を行った。

 1袋あたりの容量はもちろんばらつきがあるものの、ポテトチップスが「1袋平均200円」の大台に乗るのも時間の問題だろう。

 子供を中心に、庶民のおやつとして愛されてきたポテトチップスも、気軽に購入するのがためらわれる価格に突入する。スナックメーカー各社がコストパフォーマンスだけでポテトチップスを訴求するのは限界になりつつある。

 そんな中、業界で一足はやく、付加価値を乗せたプレミアム(高付加価値)な商品を連発してきたのが湖池屋だ。16年に、キリンビバレッジ社長だった佐藤章氏(現・湖池屋社長)を迎え入れ、コーポレートブランドを統合して以降、これまでとは逆をいくプレミアム路線に舵(かじ)を切った。

 17年には国産や製法にこだわる「KOIKEYA PRIDE POTATO(湖池屋プライドポテト)」シリーズを立ち上げる。2020年には、同シリーズを刷新。表記を「湖池屋プライドポテト」とした。

 同シリーズからは、“幻の芋”と呼ばれる、今金男しゃくを使用した高価格帯のラインを年1回販売。湖池屋オンラインショップでの23年の販売価格は、6袋(各70g)で1480円(税込み)だった。また24年3月には、食塩不使用の「湖池屋プライドポテト GOLD STYLE 食塩不使用」を全国のスーパーやコンビニエンスストア向けに発売した。

 プライドポテトシリーズの成功は、同社売上高の上昇にも貢献している。プライドポテトシリーズ誕生前の16年6月期(15年7月1日~16年6月30日)は324億3000万円だったのに対して、24年3月期(23年4月1日~24年3月31日)は548億2900万円となっている。

 今でこそ品質重視で、大人向け路線のポテトチップスも定着している。しかし、16年当時は「ポテトチップス=コスパ」という認識が一般的で、大半のメーカーも安さで勝負する時代だった。そんな中、湖池屋は、正反対をいくチャレンジングな方向転換を見せ、奏功した形だ。

 プライドポテトシリーズ誕生の経緯を、湖池屋マーケティング本部の志鎌奈津美氏が振り返る。

 「佐藤が就任する以前の15年ごろ、スナック市場は頭打ちの状態で、当社も2期連続で赤字だった。当時は、各社いかに安く大容量で販売できるかにかけていたため、価格競争は激化。追い打ちをかけるように、少子高齢化でボリューム層の人口も減り、バイヤーからも『スナック市場は厳しいだろう』と言われていたほど。ジリ貧の状態からいち早く脱却するため、『とにかくやるしかない』と切羽詰まった状況だった」

 高価格帯路線への転換は、現在の消費者のライフスタイルも見据えてのものだった。

 一昔前は家族や友達など、ポテトチップスを大人数でシェアするシチュエーションが多く、大容量で定番の味わいが売れていた。しかし、女性の社会進出や未婚人口増加とともに個食ニーズが拡大し、その分、ユーザーの趣味嗜好も多様化するように。ユーザーのライフスタイルに合わせ、単身世帯の女性や年配の層にも手に取ってもらえる商品開発が必要となった。

 ただ当時は、プレミアムなポテトチップスが売れると思っている人間などいなかった。プライドポテトシリーズの展開が決まった時、「流通関係者からは『湖池屋は大丈夫なのか?』と心配されたほど。当社は業界2位ということで、売れ筋を大量生産することができれば、売り上げも上がるのに、既定路線の真逆を進むことは暴挙ではと思われていた」(志鎌氏)

最終更新日:7/1(月)6:00 日経クロストレンド

引用:https://news.yahoo.co.jp/pickup/6506103

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