福岡の門限 セブ機また着陸できず

フィリピン・マニラ発のフィリピン格安航空会社(LCC)「セブ・パシフィック航空」の航空機(乗客186人)が19日、目的地の福岡空港(福岡市)に着陸できずに北九州空港(北九州市)にダイバート(代替着陸)し、そこからさらに約400キロ離れた関西国際空港(大阪府泉佐野市)に行き先を変更していたことが判明した。関空に到着したのは午後11時40分過ぎで、乗客はマニラを出発して約8時間缶詰め状態だった。



 セブ機は2023年9月にも福岡空港から北九州空港にダイバートした後に、午後10時の「門限」がある福岡空港に戻れず、マニラにUターンして乗客が約11時間機内に缶詰めになる事案があった。今回も福岡空港の門限で到着地の変更を余儀なくされたが、乗客の負担を考慮し、変更先を国内にしたとみられる。

 国土交通省福岡空港事務所などによると、セブ機は19日午後4時前(日本時間)にマニラを出発。午後7時ごろに福岡空港に到着予定だったが、その約20分前に仙台発福岡行きのアイベックスエアラインズ16便から「着陸用の車輪が下りていない可能性がある」と管制に連絡があり、福岡空港の滑走路は午後6時42分から7分間閉鎖された。

 その後、アイベックス機は手動で車輪が下りたため無事着陸したが、セブ機は約60キロ離れた北九州空港へのダイバートを選択し、午後7時20分ごろに着いた。

 セブ機は給油後に福岡空港に戻ることを模索したが、門限に間に合わないため、さらに行き先を関空に変更。北九州空港を午後11時ごろ離陸し、午後11時40分過ぎに関空に着いた。

 北九州空港は国際便も就航するが、夜間は地上業務を担う「グランドハンドリング」スタッフが十分でないことから乗客を降ろすことは難しく、24時間利用が可能で受け入れ態勢が充実している関空を選んだとみられる。

 23年9月に福岡行きのセブ機が北九州空港にダイバートした末、マニラにとんぼ返りした際には、機内に約11時間缶詰めとなった乗客から不満の声が上がっていた。事案の直後、斉藤鉄夫国土交通相は「関西空港のように24時間運用していて国際線の対応が可能なほかの空港に向かうという選択肢も検討するよう(航空各社に)呼びかけていきたい」と語っていた。

 両親らと日本旅行のため搭乗したフィリピン人女性(36)によると、関空に到着後、20日午前5時半まで空港で時間を潰し、新幹線を使って午前11時ごろに福岡市内に到着した。女性は「機内では皆おなかがすいて疲れていた。泣いている赤ちゃんもいた。関空に到着後は、福岡までの交通費の補償など今後どうなるのかについて航空会社から説明はなかった」と振り返った。

 セブ航空は「お客様にご迷惑をおかけしたことを深くおわびします。安全を第一に考えて今回の対応をとりました」としている。【山下智恵、佐藤緑平、森永亨】

最終更新日:5/20(月)19:49 毎日新聞

引用:https://news.yahoo.co.jp/pickup/6501639

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