佐賀市のカーリース店「フラットプラス&Myao(ミャオ)」が人気だ。2月22日のオープンから1週間で、約200人が来店。ただ9割のお客さんの目的は、本業の車以外だという。ボランティアで始めたある活動が、社会貢献事業として大きく育っている。
25日午前、駐車場に車を止めて、お客さんが店内に入って来た。でも車のパンフレットが並ぶ店内は素通り。受付でスタッフから説明を受け、隣接する部屋の扉を開けると、多くの猫が横になってくつろいだり、歩いたりしていた。
ここは行き場を失った猫たちが集まる「保護猫カフェ」。80平方メートルほどの部屋には、県内の保健所から引き取った、生後2カ月~推定7歳の猫、約20匹がいる。
利用者は1時間につき、飼育費や保護団体への寄付に充てられる千円の協力金を払う。営業時間は午前10時から午後5時までで、ドリンクはセルフサービスの飲み放題。
気に入った猫がいれば申し出て、2週間飼育できる。そこで問題が無ければ、無料で引き取れる。猫を抱いていた佐賀市の高校3年、石井瑶菜さん(18)は「人なつっこくてかわいい。車はまだ乗れないけどカフェにはこれからも通いたい」と話していた。
カフェは、県内でガソリンスタンドやカーリース店を展開する木寺石油(武雄市)が運営する。前社長が猫好きで、会社の一角で保護猫を飼っていたのがきっかけという。2015年ごろから猫の数が増え、里親を探す活動をしてきたが、なかなか譲渡に至らなかった。
県によると、ここ3年の猫の殺処分件数は300件前後という。19年に新しく社長になった児玉浩三さん(38)は、多くの命が失われている状況をなんとかしようと考えた。そこで動物病院で働いたことがある人を社員として迎え入れ、担当部署を「保護ねこ課 福にゃん」として活動を拡大。猫とふれ合う場所や時間を確保して、譲渡につなげようと、保護猫カフェを考えた。
最終更新日:3/1(月)12:35 朝日新聞デジタル