小林製薬(大阪市)が製造・販売した「紅麹(べにこうじ)」成分入りサプリメントを巡る健康被害問題で、サプリ摂取後に腎疾患で一時入院した兵庫県内の女性(75)が産経新聞の取材に応じた。「原因が分からないまま体調不良に襲われ、不安だった」という女性。小林製薬が公表するまで、健康のために飲んだサプリを疑いもしなかった。「問題をうやむやにしないでほしい」。今は一刻も早い因果関係の解明を望む。
女性は昨年5月から今年2月にかけ、小林製薬の「紅麹コレステヘルプ」を定期購入。体調に異変を感じたのは年明けごろからだった。
「口の中が酸っぱいような、いつもと違う感じで…」
弱い吐き気と不快感、食事もまともにとれない。次第に尿が泡立つようになり、においにも違和感を覚えた。かかりつけ医を受診したところ、近くの総合病院の腎臓内科を紹介された。
■有名企業で安心感
紅麹サプリを始めたきっかけは、健康診断でコレステロール値が基準値を上回っているのが気になっていたから。ネットでふと目にしたのが小林製薬の商品だった。「他社製品よりも比較的安価で手頃。有名な会社で安心感もあった」
1日3粒、就寝前に摂取して約5カ月たち、かかりつけ医で血液検査をしてもらったところ、コレステロールの数値がわずかに下がっていた。「少しは効いているのかな、と実感できた」と振り返る。
もともと健康志向が強く、60代からトレーニングジムに通い、食べ物はもちろん、化粧品や毛染めなども自然派にこだわってきた。コレステロール値も「病院で薬を処方してもらって下げるよりサプリの方が自然かな」という思いがあった。サプリを信用していただけに、年明けの体調不良と結びつけて考えることはなかった。
■「原因つきとめて」
1月22日から2月3日まで入院。腎機能の異常を示す高いクレアチニンの値が出たほか、尿潜血や尿タンパクなども認められた。腎生検などで詳しく調べると、尿細管間質性腎炎の所見があったという。
女性は昨年12月に新型コロナウイルスに感染したことから、医師からはコロナの後遺症のほか、尿細管の機能が低下するファンコニ症候群などの可能性も指摘されたが、原因ははっきりしなかった。退院後も腎不全などの薬の服用を続けてきた。
最終更新日:4/4(木)20:41 産経新聞