山形の「牛肉ガチャ」人気 狙いは

アニメキャラクターのフィギュアや玩具など、好みのグッズを期待しながら硬貨を投入するカプセルトイの楽しさからアイデアを得た、ちょっと変わった自動販売機が山形県天童市にある。大きめの取り出し口から出てくるのは、冷凍された新鮮な国産和牛。「牛肉ガチャ」と呼ばれるこの自販機からは値段以上の品が飛び出すこともあり、県外からも購入者が訪れる人気ぶりだ。



■精肉店がない地域だから、売り方にひと工夫

天童市の国道13号から東、宮城県側に入った中山間地に、その自動販売機はたたずんでいる。正面には赤い牛肉の写真が並び、「国産和牛ランダムガチャ1000円」の文字も。側面には「牧場直売所 冷凍自動販売機」とある。

今年で完全国産飼料による和牛肥育が約10年に及ぶ「なごみ農産」(矢野仁社長)の敷地内の一角。昨年4月、自動販売機会社から勧められ、同社で肥育した和牛肉を自販機で販売することにしたという。

「この辺りは中山間地で、精肉販売店もありません。それなら牛肉を冷凍して販売しようと。売り方を少し工夫したいと思い、『ガチャ』で販売することにしました」

こう話すのは、なごみ農産役員の矢野克(すぐる)さん(28)。確かに、カプセルトイと同様に、お金を入れたあと、どのような肉が出てくるのかの楽しみがある。

こうした「自販機任せ」の面白さとともに、出てくる冷凍牛肉の品質の良さも魅力の一つだ。例えば、800円なら混合種、千円なら黒毛和牛、3千円なら同社が1歳未満の子牛を完全国産飼料で育てたブランド牛「和(なごみ)の奏(かなで)」と値段ごとにランクが分かれている。「千円で3千円分の牛肉が出てくることもあります。シャトーブリアンやしゃぶしゃぶ用の牛肉、ステーキ肉もあり、すごくお得な内容になっています」と克さん。

■利益よりも地域貢献

買い物客は県内だけでなく、週末は宮城県や福島県、栃木県など遠方からも訪れる。朝、自動販売機に入れた牛肉が売り切れてしまうほどで、克さんは「リピーター客が多いですね。やはり良質の牛肉を安く提供しているからでしょう」と話す。

当初は、千円と3千円の2種で始めた牛肉ガチャだが、今では500円と800円も加わり、値段の幅は広がった。生鮮肉を買い求めにくい中山間地ながら、昨年12月までの約8カ月間で売り上げは1千万円を超えた。

最終更新日:3/24(日)23:26 産経新聞

引用:https://news.yahoo.co.jp/pickup/6495730

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