「ザクザク」の食感と聞いて思い浮かぶのは、クッキーなどの焼き菓子や、ナッツ入りのチョコレートなど。しかし最近は、から揚げなどの「おかず」に、この食感が求められるようになったという。ザクザクブームの理由を探った。
「『ザクザク』は昔からある食感の表現。甘いものとの組み合わせが主でしたが、しょっぱいものにも積極的に使われるようになり、新鮮味が感じられるようになりました」
こう語るのは料理レシピ投稿・検索サービスを提供するクックパッド(横浜市)の広報担当、小堀彰子さんだ。
同社のレシピ検索で「ザクザク」という言葉との掛け合わせがもっとも多かったキーワードを調べると、過去にはクッキー(平成26年~令和2年)、オートミールクッキー(3、4年)と菓子が続いたが、令和5年は「から揚げ」となった。
ザクザクから揚げのレシピは普通のものと、どう違うのか。
例えば、クックパッドのレシピ作家、杉山かふんさんの「鶏むね肉で☆ザクザク米粉唐揚げ」。水溶き米粉を使用した衣の食感は煎餅のよう。「おかずなのにスナック感覚で食べられます」と杉山さん。小麦粉などに比べて吸油率が低い米粉の衣はザクザク感が持続しやすいという。杉山さんは「肉はやわらかいのでザクザクした衣とのコントラスト(対比)を出しやすい。強弱のある食感は魅力的」と指摘した。
■500万袋の大ヒット
「ザクザク」と銘打つ食品も人気だ。3月時点で累計出荷500万袋を突破したのは、理研ビタミン(東京都新宿区)の「ふりかけるザクザクわかめ」シリーズ。
調味わかめを独自製法で極限まで乾燥。はじけるような食感で、卵かけご飯などに合う。4年に「韓国風ごま油風味」、5年に「食べるラー油味」、今年2月に「生姜香るねぎ塩味」を発売した。いずれもザクザク感だけでなく、油のコクと風味があり「料理に『アクセントを加えられる』と人気を呼んでいます。ふりかけるだけの手軽さや汎用性の高さもリピートにつながる要因」と担当者は話す。
「エースコック」(大阪府吹田市)も2月、カップ麺「まぜてザクザク!シン・濃厚アブラソバ」を発売した。揚げニンニク、揚げタマネギ、角切りポテトでザクザク食感を加えている。「『ザクザク』にトレンド感があると判断し、噛(か)み応えのある食感を演出しました」(担当者)
最終更新日:3/17(日)10:59 産経新聞