日産ホンダ協業 変化した立ち位置

日産自動車の内田誠社長とホンダの三部敏宏社長は15日、東京都内で記者会見し、電気自動車(EV)などの分野で、戦略提携の検討を始める覚書を結んだと発表した。背景には、両社の立ち位置が変わってきたことがある。日産は仏自動車大手ルノーと資本関係の対等化が完了し、欧州以外で協業先を探していた。〝独立志向〟を貫いていたホンダも車の電動化や知能化を自前化するのが難しくなっており、日産との協業検討を後押しした。



日仏連合を組む日産は昨年11月、20年以上続いていたルノーとの不平等な出資関係を解消した。ルノーは平成11年に2兆円以上の有利子負債を抱えていた日産に出資し、傘下に収めることを決定。ルノー出身のカルロス・ゴーン氏が社長となり、構造改革を断行し、経営を立て直した。

日産は規模でルノーを上回っていたが、ねじれた資本関係が続いていた。両社のバランスを保ってきたゴーン氏が30年に逮捕され、経営が混乱。両社の対立が続いたが、欧州のEVシフトで風向きが変わった。

多額の開発資金を得たいルノーは日産株の売却に応じる姿勢を見せ、不平等な出資関係に終止符が打たれた。資本関係の見直しで、ルノーが地盤とする欧州以外で自由に協業先を選べる立場となった。

一方、独立志向のホンダも電動化や車のソフト化の波で、従来のスタンスに変化の兆しが出ていた。令和4年にソニーグループとEVの新会社を設立した。

三部社長は会見で「新興メーカーの動きが速く、淘汰(とうた)されるという厳しい状況と認識している」と危機感を示した。

EVは米テスラや中国の比亜迪(BYD)が台頭。中国の新興メーカーは従来の自動車メーカーと異なるスピードで車づくりをしている。三部社長は「早くできるならアライアンス(連合)を組む。必ずしも単独ではない」と述べた。

日産はルノーと三菱自動車と3社連合を形成。ホンダは米ゼネラル・モーターズ(GM)と協業する。日産とホンダ以外の企業との連携にまで広がるかが注目される。自動運転の時代になれば、車はソフトを軸に動くため、異業種との協業は加速しそうだ。(黄金崎元)

最終更新日:3/15(金)21:25 産経新聞

引用:https://news.yahoo.co.jp/pickup/6494864

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