旅行代理店大手「近畿日本ツーリスト」の元支店長らが、新型コロナウイルスのワクチンに関するコールセンター業務の委託費を水増し請求して2億円あまりをだまし取った罪に問われた裁判で、大阪地裁は15日、元支店長ら3人に懲役3年・執行猶予5年の有罪判決を言い渡しました。
起訴状などによりますと、近畿日本ツーリスト「関西法人MICE支店」(大阪市浪速区)の元支店長・森口裕被告(55)、元グループリーダー・臼杵賢一被告(59)、元営業課長・太田幹雄被告(55)は、東大阪市から委託された新型コロナワクチンのコールセンター業務で、オペレーターの数を水増しし、2021年度と2022年度の委託費として2億2000万円あまりを過大請求してだまし取った罪に問われています。
これまでの裁判で、3人は起訴内容を認めていました。
一方、検察は「全国民の健康維持に危険をもたらす事態で多額の公費を投入してでも対処しようとした事情を前提に、水増し請求等の不正行為は厳に慎むべきだったのに、複数年度にわたって継続的に不正行為を続けた。自社の利益のみを追求して公益や他社の利益を軽視する利益至上主義にほかならない」として、3人それぞれに懲役3年を求刑していました。
15日の判決で大阪地裁は、「虚偽の報告を繰り返していたことは巧妙で悪質」とする一方、「被告人らは直接的な利益を得ておらず、個人責任を負わせることは躊躇した」などとして、森口被告ら3人にいずれも懲役3年・執行猶予5年の有罪判決を言い渡しました。
判決を受けて、近畿日本ツーリストは「このたびは、お客様ならびに関係者の方々に多大なるご迷惑とご心配をおかけしましたことを深くお詫び申し上げます。現在、調査委員会からの調査報告書の提言を踏まえ、グループ全社において再発防止策に取り組んでおります。社会の皆さまからの信頼回復に向け、引き続き全社一丸となってこれらを着実に実行してまいります」とコメントしています。
近畿日本ツーリストによる新型コロナワクチン接種業務の過大請求をめぐっては、静岡県掛川市と焼津市から2億2000万円あまりをだまし取った罪で静岡支店の元社員に有罪判決が言い渡されたほか、神戸市に対しても過大請求が発覚していました。
最終更新日:3/15(金)14:05 読売テレビ