0~5歳児クラスの園児約160人が在籍する堺市西区の認定こども園で、保育士の大半が4月末までに退職する意向を示し、運営の継続が困難になっていることが14日、分かった。園を運営する社会福祉法人の幹部によるパワハラなどが理由という。堺市では、転所を希望する保護者をサポートする考えを示している。
問題が起きたのは、堺市の幼保連携型認定こども園「あいあい浜寺中央こども園」。
複数の園の関係者によると、運営元の社会福祉法人「森の子ども」の宮下鉱二理事長(47)の母親で「会長」と呼ばれる女性が、保育士に対しパワーハラスメント的な言動を繰り返していたという。
この女性は保育士のことを「コマ」と呼んでいたほか、職員らが何度も人手不足を訴えたのに、改善しようとしなかったとされる。その結果、正規雇用の保育士12人のうち10人が、4月末までに退職する意向を示している。
園では保育士を補充する方針だが、早期に規定数を確保することが困難で、規模を縮小して運営せざるを得ない状況という。今後、在園児には別の保育所などへの転所を促すほか、4月以降の新たな入園を制限する考えなどを示している。
宮下理事長は取材に対し「このような事態になってしまい申し訳ない。人員確保、立て直しに向けて頑張る」と話した。
堺市幼保推進課は「今後、園の運営継続とともに、転所を希望する保護者を支援していきたい」としている。
新年度まであと2週間余り…「会長」姿見せず
堺市の認定こども園で起きたパワハラ騒動。保育士の大量退職が保護者に伝えられたのは、進級や入園のタイミングとなる新年度まで3週間を切った今月11日だった。園側は12、13両日の夜に保護者説明会を開いて経緯を説明したが、騒動の発端となった「会長」の女性は姿を見せず、急遽(きゅうきょ)子供の転所を迫られる形となった保護者からは怒りの声が漏れた。
「まさに寝耳に水。子供の転所先が簡単に見つかるわけでもなく、何てことをしてくれたんだという思いだ」
園に2人の子供を通わせる30代男性は憤る。
最終更新日:3/14(木)20:46 産経新聞