異例 創業者悼みさわやか全店休業

「げんこつハンバーグ」を看板商品に、静岡県内で展開するハンバーグチェーン「炭焼きレストランさわやか」の全店が14日、一斉に臨時休業した。「モノではなく物語を提供する」を信条に、知名度を高めた創業者が12日に死去したためで、運営会社が異例の対応で弔意を示した。



 同県富士市の富士鷹岡店の入り口には14日朝、臨時休業を知らせる紙が貼られていた。散歩中の男性(82)によると、普段は午前11時の開店を待つ車が駐車場に止まっていて、夕方ごろまで混雑しているという。駐車場が今の広さになる前は、道路に50メートルほど車が並ぶこともあったという。男性は「きょうは人がいないと思ったら臨時休業だった。ここは人気店で、いつもはお客さんでいっぱい」と話していた。

 さわやかは運営会社会長の富田重之さん(87、12日に老衰で死去)が創業。1977年、静岡県菊川町(現・菊川市)に1号店を開いた。テーブル席の客の前で店員が牛肉の塊を半分に切り、鉄板状の皿で熱して調理を仕上げる創業以来のスタイルが特徴。34店舗を構えるが、「サービス水準を維持したい」として県外出店はしていない。俳優の長澤まさみさんら県出身の著名人やテレビ番組が紹介したことで、ローカルチェーンながら、知名度は高い。

 富田さんは創業時40歳。結核を克服後、「食べるのが大好きな私が行きたくなる店を作ろう」と立ち上げた。90年代にはメニューが一時多様化した時期もあったが、「おとぎの国のような楽しいお店をもう一度作って」との中学生からの手紙をきっかけにハンバーグに特化。げんこつハンバーグ(250グラム)のほか、「おにぎりハンバーグ」(200グラム)を主力に、週末などは数時間待ちも珍しくない人気店に成長させた。

 富田さんの死去を受け、1号店がある菊川市の長谷川寛彦市長は「市の知名度や魅力の向上に寄与してくれた」と追悼コメントを寄せた。

 運営会社によると、一斉休業は14日のみ。15日以降は通常通り営業するという。(大海英史、床並浩一)

最終更新日:3/14(木)20:39 朝日新聞デジタル

引用:https://news.yahoo.co.jp/pickup/6494694

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