人手不足の影響で、希望日に引っ越しできない「引っ越し難民」が出る時代になり、ピークを避けて3月上旬に引っ越しを前倒しする傾向が加速している。アート引越センター(大阪市)の調査で意外な事実も判明した。
新型コロナウイルス禍による行動制限が緩和され、転勤や進学に伴う引っ越しが再び増えている。今年の3~4月も前年を上回る可能性が高いと業界はみている。
アート引越センターは3~4月に転居予定の20~40代400人(関東圏在住200人、関西圏200人)をインターネットで募り、2月上旬に調査した。
3月、4月の何日に引っ越すか聞いたところ、3月上旬は39・3%と4割に迫り、前年調査より5・3ポイント上昇した。未定は18・5%で2・5ポイント下落。早めに時期を決め、前倒しで引っ越しする傾向が強まっている。
アート引越センターの担当者は「2018年ごろ『引っ越し難民』の言葉が世に出て一躍注目を浴びたのを機に、分散化が急速に定着してきている」と分析している。
予約が取りづらいとされる3月下旬は前年並みの15・8%。「3月中旬から下旬にかけては混雑が予想される」としている。3月中旬は14・0%、4月は上旬、中旬、下旬とも6%未満だった。
このように年度末の引っ越しの状況が大きく変わる中で、「大安、仏滅など六曜を考慮に入れるか」については変わらない傾向があるという。
引っ越し日を決める際に六曜を考慮に入れたのは60・5%で、考えなかった(39・5%)を上回った。縁起の良いとされる日取りを重視する考え方は、今でも根強いようだ。担当者は「20~40代が対象の調査でこの結果はとても意外で興味深い。社会情勢に合わせて引っ越し時期を前倒しする中でも変わることのない、日本人に根付いた大事な判断材料なのだろう」と話した。【宇都宮裕一】
最終更新日:3/5(火)0:27 毎日新聞