大手自動車メーカーなど主要企業の労働組合が17日、春闘の要求書を一斉に会社側に提出し、今年の労使交渉が本格化した。新型コロナウイルス禍の打撃によって経営状況にばらつきがあるなか、各労組の要求内容も、業種などによって明暗が分かれている。
自動車業界では、新型コロナ禍による業績への影響を背景にホンダや三菱自動車、マツダの各労組は、賃金体系を底上げするベースアップ(ベア)の要求を見送った。トヨタ自動車や日産自動車、スバル、スズキの各労組は賃上げを要求。ただ、ベア要求の有無や額は、下請け企業との賃金格差を広げかねないとして、いずれも非公表とした。かつて春闘を引っ張ってきた自動車業界は、全体のリード役ではなくなりつつある。
より新型コロナ禍の打撃が大きい、航空や鉄道、飲食などには、賃上げよりも雇用維持を要求の前面に掲げる労組もある。一方、テレワーク需要などで業績が堅調なNECなど電機、NTTなど情報通信の労組は、例年なみの賃上げ要求を掲げている。
大手労組の要求提出は2月下旬にかけてピークを迎え、回答は3月17日に集中する見込みだ。(佐藤英彬、榊原謙)
最終更新日:2/18(木)7:45 朝日新聞デジタル