賃上げ予定の企業は85.6% 調査

2024年度に賃上げ予定の企業は85.6%で、定期的な調査を開始した2016年度以降の最高を更新した。ただ、規模別の実施率では、大企業(93.1%)と中小企業(84.9%)で8.2ポイントの差がつき、賃上げを捻出する体力や収益力の差で二極化が拡大している。
 連合(日本労働組合総連合会)が2024年春闘の方針として掲げる「5%以上」の賃上げは、賃上げ実施企業のうち、達成見込みが25.9%にとどまり、前年度から10ポイント以上の大幅な低下となった。賃上げ率の中央値は3%で、政府が要請する「前年を上回る賃上げ」も、中央値ではすべての規模・産業で未達成だった。
 物価上昇が続くなかで、賃上げの金額と広がりが景気回復の足腰の強さを左右することになりそうだ。

 賃上げに必要なことでは、約7割(67.0%)の企業が「製品・サービス単価の値上げ」に言及した。同時に、2024年度に賃上げを実施しない企業のうち、過半数(53.8%)が「価格転嫁できていない」ことを理由に挙げた。収益の源の価格転嫁の実現可否が賃上げにも影響している。
 
 賃上げの内容は、「ベースアップ」との回答が62.5%にのぼり、前年度(2023年8月調査)から6.1ポイント上昇した。厚生労働省が2月6日に発表した毎月勤労統計調査(2023年分速報値)では、実質賃金指数は前年を2.5%下回った。実質賃金の目減りが続き、ベースアップで賃金底上げを図る企業が増えている。
 
 一方、身の丈を超えた無理な賃上げは、企業の業績悪化に拍車をかけかねない。2023年は「人件費高騰」による倒産が過去最多の59件発生した。また、賃上げの予定がない企業のうち16.0%が「2023年度の賃上げが負担となっている」を理由に挙げた。物価高や円安、人手不足に加え、マイナス金利解除の可能性など、企業を取り巻く環境は複雑化している。今後、過去最高の賃上げが実施されたとしても、企業業績に与える影響を注視していくことが必要だ。

※本調査は2024年2月1日~8日にインターネットによるアンケート調査を実施。有効回答4,527社を集計、分析した。
※賃上げの実態を把握するため、「定期昇給」、「ベースアップ」、「賞与(一時金)」、「新卒者の初任給の増額」、「再雇用者の賃金の増額」を賃上げと定義した。
※資本金1億円以上を「大企業」、1億円未満(個人企業等を含む)を「中小企業」と定義した。

最終更新日:2/20(火)15:43 東京商工リサーチ

引用:https://news.yahoo.co.jp/pickup/6492207

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