高騰した鶏卵価格が急落 需要減り

高騰していた鶏卵の卸売価格が急落している。「エッグショック」と呼ばれた昨年の供給減で加工業務需要が縮小。輸入品に流れた需要も戻り切っていない。一方で生産は順調で需給が緩和した。業界は生産抑制を呼びかけ、相場の浮揚を探る。国の補填(ほてん)事業も約2年ぶりに発動されたが、飼料価格の高止まりが鶏卵経営の負担になっている。



 鶏卵の建値となるJA全農たまごの2月のM級基準値(東京、14日時点)は1キロ183円で高かった前年同月比で4割強下回る。昨年は鳥インフルエンザ感染拡大による供給減少や、ウクライナ侵攻に伴う飼料代の値上がりで生産抑制が広がり、品薄高となった。ピークの4、5月は350円に達していた。

 例年、鶏卵相場は需要期を過ぎた年始に価格を下げた後、上向く傾向だが、今年はその動きが鈍い。スーパーの店頭価格も、卸売価格ほどではないが下げ基調とみられる。

 昨年の品薄高で加工・業務筋の需要が減少。輸入の粉卵などへの切り替えも進んだが、一部は定着し、今も国産品の需要は十分回復していない。一方、生産は鳥インフルエンザからの回復が進み、増量が続く見方が強い。

 需給が緩み相場が下落したことで、1月には国の鶏卵生産者経営安定対策事業の価格差補填事業が23カ月ぶりに発動した。ただ、相場が浮揚しない中で、鶏卵の経営コストの過半を占める飼料価格は高止まりしており、鶏卵経営を圧迫する。農水省によると、直近11月の成鶏用の配合飼料価格(工場渡し、バラ)は1トン当たり10万円に迫り、高騰前の19年比で4、5割上回る。

 今シーズンも鳥インフルエンザが発生し、予断を許さない状況だが、業界関係者は「需要を上回る供給が続けば、深刻な需給緩和が継続する」と語る。JA全農たまごは1日付で生産者向けに、需要環境に対応した生産への協力を呼びかけるなど、生産抑制に向けた動きも出ている。(宗和知克)

最終更新日:2/15(木)14:14 日本農業新聞

引用:https://news.yahoo.co.jp/pickup/6491664

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