貨幣の中には額面以上の価格になるものがあります。「ギザ10」と通称で呼ばれる10円玉は、ただの10円玉ですが、中には1万倍の価格で取引されるものもあるそうです。額面よりも価値を持つお金って、一体どういうことなのでしょうか。
■額面をはるかに超える価格 手がかりは「日本貨幣カタログ」に
筆者が高校生の頃から愛読している「日本貨幣カタログ」という本があります。祖父からもらった貨幣の価値を調べるために買ったのをきっかけに読み続けています。
このカタログには、708年から発行されたとされている「和同開珎」などの古銭から、いま流通しているお金、2024年7月3日から発行される渋沢栄一・津田梅子・北里柴三郎の新紙幣までが載っており、どれくらいの価値があるかが記されています。お金の価値は自明じゃないかと思われるかもしれませんが、コレクターの間では額面とは別のお金の価値が存在するのです。
人気の硬貨にギザ10があります。カタログでギザ10のページを探してみると、ありました。「10円青銅貨(ギザあり)」との記載です。お店で使えば、他の硬貨と変わらない10円の価値しかありませんが、ギザ10の中には、10万円で取引されているものもあります。一方、同じギザ10でも、発行年によって最高額は1万8千円~5万円とまちまちです。
■わずか7年間だけ発行のギザ10 最高額は額面の1万倍
貨幣の価値は何で決まるのか、日本貨幣カタログを作っている「日本貨幣商協同組合」の専務理事・林和美さんに聞くと、「貨幣の状態と流通量ですね」と教えてくれました。
貨幣の状態というのは、出た時と同じような状態の方が価値があるのだといいます。そのため、貨幣は保存の状態によって「完全未使用品」「未使用品」「極美品」「美品」「並品」と評価が分かれています。完全未使用品は「表面の輝きが製造時の状態を保ち、製造後の摩耗・スリキズ・当たりキズが全くないもの」。一応「ごく僅かな製造時のスレ・当たりキズは認められる」との注釈もありますが、ハードルはかなり高いです。普段の生活で手に入る貨幣は基本「並品」だと思って良いでしょう。
最終更新日:2/12(月)7:02 TBS NEWS DIG Powered by JNN