山陰中央テレビ能登半島地震から1か月。
この地震の教訓をもとに山陰での必要な備えについて考えます。
今回の地震では、古い木造住宅の倒壊が相次ぎ、犠牲者の多くが、倒壊した家屋の下敷きになったとされています。
北陸と同じように、古い木造住宅が多い山陰、自分の家は大丈夫か、セルフチェックのポイントを取材しました。
原型をとどめないほどに崩れ落ちた家屋。
今回の地震による石川県内の死者は1日時点で240人。
県が氏名などを公表した129人の9割近くの死因が「家屋の倒壊」でした。
地震で損壊した住宅は約4万8000棟です。
被害が拡大した要因のひとつとして、住宅の耐震化の遅れが指摘されています。
大きな地震が発生するたびに見直されてきた「耐震基準」は、特に1981年の法改正で基準が大幅に引き上げられ、それ以前を「旧耐震基準」、それ以降を「新耐震基準」と呼ぶようになりました。
1995年の阪神淡路大震災を受けて、2000年にも基準が改正されました。
地震時の家の耐震度合いの実験映像です。
右は「旧耐震基準」の住宅、左は2000年の基準に則して耐震補強された住宅です。
震度7に近い揺れを再現すると、旧耐震基準の住宅はあっという間に倒壊しました。
能登半島地震でも、古い木造住宅が多い地域に大きな被害が出ましたが、山陰でも他人事ではありません。
「新耐震基準」を満たしていない住宅は、島根県で約7万8000戸、鳥取県では約3万4000戸と推計され、耐震化率は両県とも、全国推計を下回っています。
山陰で多く見られる耐震性能が不十分な住宅。
自分の住む家が大丈夫なのか、セルフチェックできるポイントがあるといいます。
福村翔平記者:
「旧耐震基準で建てられた私の実家。どのような危険があるのかチェックしたいと思います。よろしくお願いします」
築50年を超えた記者の実家。
一緒にチェックするのは、一級建築士の田中雅実さん、島根県木造住宅耐震診断士として、住宅の耐震化についてアドバイスしています。
福村翔平記者:
「まずはどういったところをチェックすると良いですか」
耐震診断士 田中雅実さん:
「外壁とか基礎にヒビがはいっていないかがチェックポイントです」
セルフチェックポイントの1番目、外壁・基礎の傷み小さなひびは問題ありませんが割れ幅0.3ミリ以上は要注意です。
この家にも、やや大きめのひびが。
耐震診断士 田中雅実さん:
「ここから水が入らないように外壁材を塗り替える必要がある」
こうしたヒビを放置しているとどうなるのか、家の中へ移動すると。
耐震診断士 田中雅実さん:
「雨漏りをしている可能性がありますね。壁にシミができていますね」
セルフチェックポイント2番目は、天井・壁のシミ壁にできたシミ。
深く入ったヒビからの雨漏りが原因とみられ、住宅の劣化を示す危険なサインです。
家の中のチェックポイントはほかにもあります。
耐震診断士 田中雅実さん:
「床の傾き、壁の傾きをチェックします」
セルフチェックポイント3番目は家の傾きです。
耐震診断士 田中雅実さん:
「この部屋で言いますと、ここに隙間が空いているので、柱が傾いている可能性がある」
ドアや窓が閉まりにくかったり、床に物を置くと転がったりするのは要注意です。
バランスが悪く耐震性が低い可能性があります。
ほかにも、水回りにある点検口から床下の木材が腐っていないか。
増改築した時に壁や柱を撤去していないか。
などがチェックポイントです。
田中さんは、セルフチェックで気になる点があった場合は、専門家による耐震診断をすすめています。
耐震診断士 田中雅実さん:
「専門の耐震診断士に相談して、費用はかかるが、機械を使って確認したり床下など、普段見えないところに入って確認するとよい」
工務店や設計事務所などに依頼することで、より精密な診断を受けることができ、必要な耐震補強工事について知ることができます。
専門家による診断には数十万、耐震補強工事には数百万単位の費用がかかりますが、それぞれ自治体の補助金制度を活用することもできます。
能登半島地震で改めて浮き彫りになった家屋倒壊の危険性。
今のうちに必要な対策を取っておくことが重要です。
最終更新日:2/2(金)19:07 TSKさんいん中央テレビ