能登半島地震で石川県輪島市門前町の漁港では約4メートルの隆起が確認された。黒島漁港は港内が干上がってしまっている。同漁港で漁をしてきた高島長憲さん(80)は、「海を取られたから何にも残っていない」と話す。
地震の発生時は漁港で作業をしていたが、揺れはその場で転倒するほどだったという。津波を想定し、高台にある寺に向かった。そこから見えたのは、干上がった港だった。「海が引いたから(津波が)来るなと思ったが、永久に来なかった」。出漁できない状態に、「自分でも県でも何ができるわけではないから、黙っているだけです」と途方に暮れる。
自宅には「危険」と書かれた赤い紙が貼られ、住める状態ではなく、近くの公民館で過ごしている。金沢に住む子どもたちからは身を寄せるように声をかけられているが、愛着のある黒島にとどまるという。【後藤由耶】
最終更新日:1/30(火)7:47 毎日新聞