豊田自動織機のエンジン認証試験の不正を巡り、同社が設置した外部有識者による特別調査委員会は29日記者会見し、不正行為の原因として産業用エンジンの「不合理な開発スケジュール」やコンプライアンス(法令順守)意識の欠如などを挙げる一方、筆頭株主のトヨタ自動車頼みの「受託体質」という企業風土も影響したと指摘した。
■上への報告行われず
産業用エンジンの開発日程は、量産開始の予定日から逆算して策定。その日程が優先され、作業の進捗(しんちょく)状況に照らして合理的とは言い難いスケジュールとなったほか、問題が発生しても管理職の上位層への適切な報告が行われなかった。
具体的には、開発中に「DPF」という排ガス後処理装置を搭載しないとの方針変更がされたが、ありあわせのエンジンによる簡易的な実機検証をわずか2、3カ月で行っただけで排ガスの開発目標値を達成する見込みがあるとした開発例や、副社長の要望で米国向けエンジンの量産開始日が1年前倒しされ、変更された開発スケジュールに無理があると認識した開発関係者が少なくなかったが、その点が指摘されなかったという。
■9割がトヨタの委託
一方、特別調査委の報告書は不正の背景として、豊田自動織機のエンジン事業の9割がトヨタからの委託が占めることに起因し、「トヨタから指示されたことは実行できるが、自ら問題や課題を発見し、それを解決する方策を導き出す力が弱い」と指摘。その受託体質が、自社で正しいものづくりを徹底する仕組みづくりを怠ることにつながったと分析した。
また、自動車向けに比べて産業用エンジン開発は難易度が低いという、誤った認識が経営陣やエンジン事業部の幹部にあったという。(池田昇)
最終更新日:1/29(月)20:52 産経新聞