関西電力(大阪市北区)が大阪国税局の税務調査を受け、2021年3月期までの2年間に約12億円の申告漏れを指摘されていたことが、関係者への取材で判明した。美浜原発3号機(福井県美浜町)のテロ対策施設「特定重大事故等対処施設」を設置するための調査費用などの経費処理に誤りがあったとみられ、過少申告加算税を含めた追徴税額は約1億5000万円。関電は既に納税を済ませたという。
テロ対策施設は、原子炉が攻撃を受けても遠隔操作で冷却作業ができる緊急時制御室などを備えるもの。東京電力福島第1原発事故を踏まえた新規制基準で設置が義務付けられている。
関電は、テロ対策施設の設置許可を原子力規制委員会に申請するため、建設予定地の地盤などを調査した。関係者によると、関電は19~20年度、調査にかかった費用約4億4000万円をまとめて経費計上した。しかし、国税局はテロ対策施設は資産であるとして、調査費を含めて取得費用は減価償却費に当たると判断。資産の耐用年数に合わせて経費を分散して計上するよう指摘されたという。
また、単年度の経費として計上したソフトウエアの開発費など約7億5000万円についても、減価償却費に相当し複数年度に分けて計上すべきだと判断した模様だ。
関電広報室は「国税局との見解の相違があり、既に納税対応した。今後も関係法令に従って適切に対処していく」としている。【古川幸奈】
最終更新日:1/23(火)14:11 毎日新聞