飛行機の座席にペットを同伴できるようにしてほしい――。東京・羽田空港で起きた航空機衝突炎上事故で日本航空(JAL)の貨物室にペット2匹が取り残されたことをきっかけに、こんな声が上がっている。ペットの同伴は海外では珍しくなく、国内でも今月から本格導入した航空会社も現れた。【大野友嘉子、宮城裕也】
「当たり前のようにあるサービスです」。大韓航空(韓国)の広報担当者は取材に対し、ペット同伴は当然だと言い「10年前などという程度ではなく、かなり昔から実施しています」と話した。
対象は生後8週以上の犬、猫、鳥。ケージを含めた重さを7キロ以下などと規定し、国際線は出発の48時間(国内線は24時間)前までの予約が必要だ。
ルフトハンザ(ドイツ)は、ケージを含め8キロ以下の小型の犬と猫を対象とし、乗客1人につき2匹までの同伴を認めている。
デルタ航空(米国)は、同伴できるペットの生後週数を次のように規定している。
・国内線……8週以上
・欧州連合(EU)域内行き国際線……15週以上
・米国行き国際線……16週以上
◇日本初はスターフライヤー
一方、日本国内では、スターフライヤー(北九州市)が今月15日にペット同伴を認めるサービスを全便で始めた。
きっかけは、新型コロナウイルスの感染拡大。広報担当者は「航空需要が減り、サービス向上について考える中で『ペットと一緒に旅行したい』といったニーズに応えようということになりました」と説明する。
貨物室で預かっていた対応を見直し、2022年3月に北九州―羽田線の一部フライトでペット同伴サービスを日本で初めて開始した。約350件の利用があり、他の乗客からクレームがなかったことなどから国内の全5路線・全便での本格導入に踏み切った。
ケージ(縦50センチ・横40センチ・高さ40センチ)に入る小型の犬と猫が対象で、料金は1匹5万円。搭乗4日前までの予約が必要だ。
◇おもちゃや重点清掃…他の客に配慮
国内でも見られるようになったペットの同伴だが、狭い機内で重要となるのが他の乗客への配慮だ。
大韓航空は、動物アレルギーのある乗客に「ペット同伴客と離れた席を可能な限り用意します」としており、「予約時に(アレルギー)病状についてスタッフにお知らせになることを強くお勧めします」とホームページで呼び掛けている。
ルフトハンザは、同伴者に向けて「ペットにとって心地よい毛布やお気に入りのおもちゃをケージに入れると、なじみのあるにおいによって落ち着かせることができます」とアドバイス。ペットが不安になったり、ほえたりするリスクを減らすよう努めている。
スターフライヤーでは同伴者が利用した後の座席を重点的に清掃し、臭い対策を徹底する一方で、同伴者には具体的な条件や対応を求めている。
<主な条件・対応>
・鳴いたり、ほえたりしないよう十分訓練されている
・臭い対策などで手入れが行き届いている
・ブラッシングなどで毛の飛散を抑える
・ワクチン接種を証明書などで確認できる
・フライト中はエサを与えない(水は可)
・おむつを着用させる
・ケージから出さない
・最後列でペットの隣に座る
また、緊急時にペットを連れての脱出はできないことも示し、同伴者に同意書への署名を求めている。担当者は「緊急時に一緒に脱出できないのは、国土交通省の指針で荷物を持たずに脱出することが決められているためです」と説明する。
今回の事故に関しては「ペットの搭乗のあり方を考えるきっかけにしたいと受け止めています。同伴に批判的な利用者もいると思うので、(賛否の)双方が納得感を持って理解いただくサービスを考えていきたいです」と話した。
最終更新日:1/19(金)17:24 毎日新聞