川重 バイク生産を分社化へ

大手重工メーカーの川崎重工業(神戸市中央区)が、新型コロナウイルス感染拡大の影響で不振に陥っている二輪車事業の分社化など、事業部門の再編に乗り出すことが29日、関係者への取材で分かった。国際競争の激化で苦境が続いている造船は、産業用発電設備などのプラント部門と統合して設計・開発能力を結集させる方針で、経営体力の強化を目指す。



 コロナ禍では、三菱重工業(東京)が国産ジェット旅客機の開発事業を凍結する方針が明らかになるなど、重厚長大産業にも影響が拡大。川重も対応を迫られた。11月2日に発表する中長期的な経営指針「グループビジョン2030」に再編を踏まえた戦略を盛り込む。

 二輪車は、川重グループで数少ない一般消費者向けの製品。大排気量の高級車種などが強みで、明石工場(明石市)のほか、ブラジルやフィリピンなどで生産している。だがコロナ禍で新興国向けの需要が大幅に減り、生産を一時休止。回復は見通せず、2021年度にも子会社を設立して分離する。各国の需要に応じて意思決定を迅速にし、採算性を高める狙いがある。

 造船は神戸、坂出(香川県坂出市)の2工場と中国の関連工場でLNG(液化天然ガス)船やコンテナ船を建造するが、厳しい国際競争にさらされている。

 川重は、国の水素エネルギー利用プロジェクトで豪州から液化水素を運搬するための船の建造、荷揚げする神戸空港島での設備の建設を担っており、造船とプラント部門の統合でグループ内の相乗効果も見込む。

 川重は29日、21年3月期に本業のもうけを示す営業損益が200億円の赤字に落ち込む見通しを公表した。二輪車部門は50億円の営業赤字、造船部門は30億円の営業赤字を見込んでいる。(長尾亮太)

【川崎重工業】 1878(明治11)年、川崎正蔵が東京・築地に造船所を設けたのが起こり。81年に神戸に造船所を開設、96年に株式会社化した。戦前、鉄道車両や航空機などに事業を広げた。戦後に始めた二輪車事業は当初、先進国を中心に展開。1970年代以降は東南アジアや南米、インドにも生産拠点を増やした。2000年代に入り造船と精密機械、プラントの各部門をいったん分社化したが、10年に吸収合併した。

最終更新日:10/30(金)10:44 神戸新聞NEXT

引用:https://news.yahoo.co.jp/pickup/6375093

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