在宅でシャツ着ず?洗濯店苦境

新型コロナウイルスの感染拡大で在宅勤務が広がり、クリーニング店が苦境に立たされている。国の統計でも1世帯当たりの関連支出は目に見えて減っており、SNS(ネット交流サービス)の活用に活路を見いだそうとする関係者もいる。



 「50年以上、店をやってきたが売り上げがここまで落ち込むのは初めて」。東京都墨田区の東武鉄道東あずま駅からほど近い「細谷クリーニング店」の店主、細谷勝美さん(72)はため息をつく。

 1月下旬のある日。昼過ぎまでに来店したのはクリーニングが済んだ衣服の引き取りが3人、依頼は1人だけ。以前は毎週末にワイシャツ5、6枚を依頼していた常連客も、在宅勤務でワイシャツを着ないのか、今は半月に一度、1枚持ってくるだけになった。

 細谷さんは「不況に強いといわれた業界だが、お客さんも収入が減ってクリーニングを控えているのではないか」と推し量る。業界関係者は「飲食店支援に注目が集まるが、コロナ禍で不安を募らせているのは私たちも一緒だ」と話す。

 総務省の「家計調査報告」によると、クリーニング代を示す「洗濯代」の支出額は、昨年3月以降、前年同月比で2割超の落ち込みとなる月がほとんど。総務省の担当者は「在宅勤務や式典の開催自粛などが影響している」と分析する。

 細谷さんの長男勝さん(42)は業界団体の「しみ抜き技術者」として認定された腕前をホームページやSNSで発信し、活路を見いだそうとしている。実際、染み抜きの手仕事は以前と変わらず、月50件ほど依頼がある。23区内外からも客が訪れる。勝さんは「人の往来が戻ればクリーニング業界にもきっと活気が戻るはず」と期待を込めた。【松本信太郎】

最終更新日:2/11(木)13:41 毎日新聞

引用:https://news.yahoo.co.jp/pickup/6384789

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