2025年4月に開幕する大阪・関西万博で、1970年の大阪万博で人気を博した「月の石」を再び展示する構想が浮上している。日米政府関係者が明らかにした。
米政府が検討しており、日本の政府関係者は「前回の大阪万博を知る人には懐かしい。月の石を再確認するために万博にいくというのもいい」と歓迎する。万博を巡っては国民負担増などで批判が多く、かつての人気にあやかりたいとの思惑もありそうだ。
月の石はアポロ12号が大阪万博開催の前年に月から持ち帰ってきたもので、重さ約900グラム。米国は69年に世界で初めて月面着陸を成功させたことから、宇宙開発を展示テーマのひとつにし、月の石は国のパビリオンであるアメリカ館に展示した。大阪万博は当時の国民の3分の2に当たる延べ約6421万人が来場するなど盛況で、米航空宇宙局(NASA)によると、月の石は1日平均8万人、延べ約1400万人が見学するほどの人気だった。
米国は大阪・関西万博にもパビリオンを出展する予定で、テーマは「イマジン(想像する)」。月やその先の宇宙旅行を疑似体験できる展示のほか、米国内の観光地や自然を体感できるような展示で米国らしさに触れてもらうことを目指す。パビリオンのデザインは24年初めにも発表する。
大阪・関西万博は、人件費や資材費の高騰で会場建設費が当初の1・9倍近い2350億円に膨らむなどして批判が集まっているほか、海外パビリオンの建設遅れなどの課題が先行。毎日新聞が16、17日に実施した全国世論調査でも、万博のチケットを「購入したいとは思わない」が79%となり、「購入したい」は10%にとどまるなど機運は低いままだ。【横山三加子、松岡大地】
最終更新日:12/24(日)12:10 毎日新聞