コロナ禍「パクリ屋」横行

コロナ禍にあえぐ企業が「取り込み詐欺」の標的になっている。新規取引を装い、商品が納入されると代金を支払わず雲隠れするというありふれた手口だが、信用調査会社によると、計画的倒産かどうかを立証するのは難しく、被害者が泣き寝入りするケースもあるという。取引を持ち掛けられ、納入した商品の代金数千万円が回収できなくなった食品卸売業の男性が西日本新聞の取材に応じ、相手とのやりとりを明かした。



 「お宅の食品を購入させてもらえませんか」。昨年夏、東京都内の男性の事務所に突然、商談を持ち掛ける電話がかかってきた。

 男性の会社は昨年、夏に開催予定だった東京五輪・パラリンピックの需要を見込み、海外から大量の食材を輸入していた。ところが五輪の1年延期が決まり、緊急事態宣言で飲食店の需要も激減。取り扱う食材の相場は急落し、大量の在庫がだぶついていた。

 そこに舞い込んだ一本の電話。「ああ、これで助かった」。男性はすぐに商品を売り込みに行った。

信用調査会社の東京商工リサーチによると、この業者の役員には、過去にインターネットを利用した詐欺との関わりが指摘される人物が名を連ねていた。休眠会社を買い取って営業所を立ち上げ、ホームページを開設して一般企業を装っていたとみられる。少なくとも50社以上が被害に遭った可能性があるという。

 東京商工リサーチ東京支社の黒崎洋平上席部長は「コロナ禍の中、なんとかして売り上げを確保したいのが経営者心理。悪質業者はそこを突いてくる」と指摘する。

 小口取引で信用させ、タイミングを見計らって大量の商品を仕入れた後、経営悪化を理由に債務を踏み倒すのが典型的な手口だ。ただ、最初から支払う気がなかったのか、支払うつもりだったが金がなくなったのか、捜査当局も見極めは難しい。

最終更新日:2/9(火)14:18 西日本新聞

引用:https://news.yahoo.co.jp/pickup/6384626

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