森会長発言 スポンサーに冷水

東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長(83)による女性蔑視発言を受け、組織委員会は8日、大会を支えるスポンサー企業を集めたオンライン会議を開き、発言を撤回した経緯を伝えた。会議では「五輪の理念から外れた発言で遺憾」など、組織委に対して苦言を呈する企業もあったという。



 組織委によると、スポンサー向けの説明は8日夜に行われた。元々は新型コロナウイルスの感染予防策をまとめた「プレーブック(規則集)」などに関する説明の場だったが、発言をめぐる騒動が収まらないため、スポンサーからの質問を受ける時間が設けられた。関係者によると、「不買運動をするという苦情もあった。ショックだ」といった声も上がった。

 スポンサー各社は五輪の延期によって協賛金を追加拠出したが、年明け以降も広告・宣伝活動をほとんど展開できない状態が続いている。「安易に五輪を応援すると『それどころではない』という苦情が来てしまう」(スポンサー関係者)との恐れがあるからだ。多くの企業では3月下旬からの聖火リレーなどをきっかけに、五輪の機運が再び盛り上がり、宣伝活動が再開できることを期待していた。

 今回の発言と世論の反発は、そんな期待にも冷や水を浴びせる形になった。ある企業の担当者は「ホームページを通して会社にも抗議の声が届いている」と明かす。別の企業の担当者は、今回の女性蔑視発言と企業・商品イメージが結びつくことを懸念し、「これからは商品アピールの場などで組織委員会の幹部に同席してもらう機会も多くなるが、森会長との『共演』は遠慮したい」と話す。

 スポーツマーケティングに詳しい法政大スポーツ健康学部の吉田政幸准教授は「五輪のスポンサーは本来、平和や多様性といった五輪のイメージに価値を見いだしているが、今回の発言により、五輪に関わる宣伝にマイナスのイメージがついてしまった。現状で宣伝を行うと、発言を支持したように解釈される恐れがあり、企業にとっては難しい局面だ」と指摘する。

 スポンサーからは、発言に対しての表立った動きは出ていない。しかし、大会に関わる政府関係者は「世論は森会長が辞めないと許さない雰囲気になってきた。ここでスポンサーに動きがあれば、将棋で言う『詰み』になるかもしれない」と動向を気にかけている。

 毎日新聞社もオフィシャルパートナー契約を結んでいる。同社社長室広報担当は「森氏の発言について『女性を差別した発言であり、到底許されない』とする社説を5日付朝刊に、組織委会長を『辞任すべきだ』とする社説を9日付朝刊に掲載している」としている。【川崎桂吾、金子淳】

最終更新日:2/8(月)22:36 毎日新聞

引用:https://news.yahoo.co.jp/pickup/6384561

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