SKY会長コロナ急変の恐怖語る

2021年1月4日、航空会社スカイマークの全社員に社内イントラネット経由で配られた「さやま便り」には、「感染の経緯」という欄があった。



「さやま便り」とは、同社会長の佐山展生さんが週1回、全社員2500名余に宛てて書くA4で2枚分ほどの写真付きのメッセージとレポートだ。

佐山さんは2020年12月、育休中のため、実家である佐山さん宅に同居していた自身の子ども(成人)から新型コロナウイルスに感染し入院。幸い、重症化直前で回復した。

「さやま便り」には、誰からいつ、どのような経緯で感染したのか、PCR検査から入退院までの行動など、感染の詳細な経緯がつづられている。外部にも感染を公表し、社内外にどうリスク管理するかの重要性を伝えてきた。

一方、現在、感染拡大による医療現場の逼迫で、自宅療養・入院待機になる人が急増。自宅で容体が急変、死亡するといったケースが相次いでいる。佐山さんも、入院していながらコロナ特有の急変には苦しめられたという。

「コロナ感染で生命の危機を感じた身としては、高熱のある人の在宅とホテル療養は、極めて危険と感じます。しかし医療崩壊は叫ばれるが、自粛のお願いばかりで『ではどうすべきか』の議論や報道がほとんどない」

実際、どう急変に至り、対処したのか。経営者・リーダーはコロナリスクにどう向き合うべきか。改めて実体験を話してもらった。

【12月25日】急変したのは25日の金曜日だ。発熱した15日から数えて10日後にあたる。「発症から10日前後」は、軽症でそのまま治るか、急変して重症化するか。目安の一つと言われている。

「入院時も、医師から『約80%の人は自然に治りますが、発症後10日くらいで悪化することがあります』との説明を受けていたが、まさしくその通り。ぴったり10日後でした。25日のお昼頃、2日に1回のシャワーをシャワー室で浴びた後、立ってドライヤーで髪を乾かしていたら、ものすごくドライヤーを重たく感じ、しんどくなって2回も椅子に座った。なんか変だなと思った」

この件を医師に報告。レントゲンを撮ったところ、肺炎の症状が少し現れていた。その日の夜には一気に熱が39.4度まで上昇。急に強烈な倦怠感に襲われ、何をするのもしんどくなった。

血中酸素飽和度 もそれまで96~98%だったのが、93%程度まで下がった。インフルエンザや風邪なら、多少なりとも時間を経ると良くなっていく。しかし、コロナは違っていた。

「えっ、これは何なのだと恐怖感に襲われた」

経験者の立場から佐山さんは「家庭内感染を防ぐのは極めて難しい」と指摘する。

「軽症だから自宅待機というのは、家庭内感染を増やして下さいと言っているのと同じ。一方で、医療崩壊が叫ばれるものの『ではどうするか』という議論がほとんどされていないのではないか」と言う。

「日本中の病院の稼働率が高い中、+αで発生しているのがコロナ患者。もともと稼働率の高い病床にねじ込もうとするから、医療崩壊につながっているのではないか」

「新しくコロナ専用の“ハコ”(病床)を作り、一箇所にコロナ患者を集めたほうが、コロナ関係の医療従事者の移動が少なくてすみ、負担も減る。コロナ患者がたくさんの病院に分散しているよりも、院内感染も防ぎやすい。中国や米国のニューヨーク州がコロナ専用病棟を建設したように、空き地に突貫工事で建設してもいいし、まだ使える小学校の廃校などの空いている施設を利用してもいいかもしれない。第一波の後にそうした対策を打つべきだったように思う」

例えば工場を2つ持って収益の出ている製品を製造しているメーカーに、さらに収益が期待される新製品の製造を検討するならば、既存工場の操業を停止せずに新製品のための新工場建設に踏み切るはず。

コロナもそれと同じだと言う。こうした案には人繰りの問題がよく指摘されるが、「まずハコを作ってしまうことが重要」と指摘する。

最終更新日:2/8(月)8:10 BUSINESS INSIDER JAPAN

引用:https://news.yahoo.co.jp/pickup/6384494

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