サンタの袋は軽めか 欧米インフレ

Richa Naidu Aishwarya Venugopal

[ロンドン 15日 ロイター] - 今年の欧米の年末商戦は、玩具の販売不振が予想されている。懐具合の寂しい消費者が食品や生活必需品の購入を優先し、玩具を後回しにしているためで、サンタクロースの運ぶクリスマスプレゼントは少なめになるかもしれない。

世界中の消費者が高インフレと経済の成長鈍化に苦しんでおり、11月末の大型セール「ブラックフライデー」から12月末頃にかけて続く年末商戦は今年、必需品以外の商品を扱う小売業者にとってとりわけ厳しいものになると業界幹部は予想している。

「バービー人形」や変形玩具「トランスフォーマー」、ミニカーの「ホットウィール」といった人気商品が依然として子どもたちの欲しい物リストの上位を占めそうだと、英調査会社ユーロモニター・インターナショナルの家電業界マネージャー、ルー・ウィー・テックは予想する。

しかし業界幹部によると、多くの親は今年こうした商品を買うだけの余裕がない。アマゾンのサイトで最も売れ筋のバービー人形「バービー・ポップリベール」は現在の価格が19.99ポンド(24.89ドル)。また保護者のブログによると、ホットウィールの「スコーピオン・プレーセット」の価格は2020年に35ポンドだったが、英アマゾンで今年は60ポンド前後だ。

人形の「ブラッツ」のメーカー、MGAエンターテインメントのアイザック・ラリアン最高経営責任者(CEO)はインタビューで、「消費者にとって今年のホリデーシーズンで最も重要なのは家族のため食事を用意することだ」と話す。

玩具メーカーのハズブロとマテルはすでに業界の販売不振見通しを示している。しかし玩具メーカー4社の幹部や専門家は、今年の年末商戦はこうした予想よりさらに厳しいものになるとみている。ラリアン氏はMGAのクリスマス商戦で、全世界の売上高が前年比で10─12%落ち込むと予想した。

育成ゲーム「たまごっち」を手掛けるバンダイのマネジングディレクター、ニック・オルドリッジ氏は、クリスマスまでの需要が昨年を下回ると見込む。小売店が品揃えを旧製品にシフトさせるため、価格はさらに下がると予想。「過去数年に供給した分の余剰があったことから、在庫一掃セールや大幅な値引きが行われている」と言う。

<ブラックフライデーに注目>

トランスフォーマーやスパイダーマンのようなフィギュアは全世界の売上高が今2%落ち込むとユーロモニターは予測している。

需要の減退を見込んで、すでに余剰在庫を抱えている小売業者の多くが今年は発注を例年よりも減らしている。つまり人気商品はすぐに売り切れる可能性があるということだ。

年末商戦を占う手掛かりとなるのがブラックフライデーの動向だ。マテルの社長兼最高商業責任者(CCO)、スティーブ・トッツケ氏は13日、「一部ですでにブラックフライデーの先行セールが始まっている」と話した。

マテルは先月、第3・四半期末の在庫水準が前年同期比で2桁減少したと発表した。

MGAは「慎重かつ保守的に」臨みたいため製品の発注と製造を圧縮したが、その結果、いくつかの新製品の供給が不足する見込みだとラリアン氏は明かした。

S&Pグローバル・マーケット・インテリジェンス傘下の貿易データ会社パンジバによると、8月31日までの3カ月間に米国の玩具輸入はドルベースで前年比32%減少した。この時期は通常、年末商戦に向けた重要な発注時期に当たる。9月の海上輸送出荷(コンテナ数)は8%減った。

ドイツの玩具メーカー、シンバのフロリアン・シーバーCEOは「玩具市場は1年を通して落ち込んでいる」と述べた。欧州の消費者需要は昨年よりも弱く、昨年はすでに前年より弱かったという。

それでも終盤の需要増を予想する声もある。

トッツケ氏は「マテルにとって良いホリデーシーズンになると予想している。シーズン中にシェア拡大が続くと見込んでいる」と強気だ。

データ会社サーカナ(旧NPD)のグローバル玩具アドバイザー、フレデリック・タット氏によると、同社が追跡調査している国では今年1─9月に玩具の売上が前年比で約7%減ったが、クリスマス前の3週間に客足が戻る見込み。これまでに最も好調だったのはゲーム、パズル、ぬいぐるみ、組み立てセット、乗り物だ。

ただ、トイザらスやハドソンズ・ベイの元CEOで、コンサルタント会社ストーチ・アドバイザーズのCEOであるジェリー・ストーチ氏は「玩具用に残してあるお金もいくらかはあるだろうが、玩具は昨年ほど売れないというのが現実だろう」と慎重な見方を示した。

最終更新日:11/19(日)8:06 ロイター

引用:https://news.yahoo.co.jp/pickup/6482208

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