女性客に支払い能力を超える高額料金を請求して借金を背負わせる「悪質ホストクラブ」について、東京都新宿区の吉住健一区長は17日、臨時の記者会見を開き「高額請求被害は消費者問題で、犯罪的行為もみられる」と述べた。業界団体に対して売掛金(ツケ)による支払いの自主規制と、そのための業界ルールを設けるよう求めた。
吉住区長は会見で、歌舞伎町に約300店のホストクラブがあり、ほぼ全店が売掛金の仕組みを設けていると説明した。その上で、借金を背負った女性客が、返済のために風俗店や路上での売春行為に及ぶケースが多数あるとの認識を示し「未成年者を含め、この街にたどりついた人の人生が破滅していく事態は地元自治体として避けたい」と話した。
また、「お客様へ」と前置きしたうえで「恋愛感情がある相手の女性を性風俗(産業)に従事させる男性は『恋愛詐欺師』です」と注意を呼びかけた。
区は今後、この問題に特化して弁護士が応じる相談窓口を週1回開く。さらに警視庁新宿署や地元の民間団体とも連携し、啓発や各店への指導に取り組むと明らかにした。
一方、ホストクラブにおける売掛金を禁止する条例制定など法規制については、「契約自由の原則などに照らして現実的には難しい。消費者契約法など現行法の徹底で対処可能だと思う」と述べた。
こうした現状は、今国会でも取り上げられている。政府側も問題意識は持っており、16日には露木康浩警察庁長官が定例記者会見で、ネット交流サービス(SNS)を通じた「匿名・流動型犯罪グループ」に触れて「背後で不当な利益を得ている可能性がある。取り締まりを強化したい」と言及した。自見英子消費者担当相も衆院消費者特別委員会で、「非常に問題がある。(売掛金は)消費者契約法に基づいて取り消せる可能性がある」との見解を示した。【春増翔太】
最終更新日:11/17(金)21:41 毎日新聞