日本政府は、米国のバイデン新政権と足並みをそろえ、経済安全保障戦略の具体化を急ぐ。軍民融合の掛け声の下、国家総動員で軍備増強を急ぐ中国の脅威に対処するため、日米と欧州連合(EU)が先端技術の流出を防ぐ「技術連合」を結成する動きもある。対する中国は報復措置を着々と準備し、包囲網の切り崩しを図る。対立のはざまで日本企業が「板挟み」に陥り、サプライチェーン(部品の調達・供給網)が分断されるリスクも高まっている。(共同通信=西川廉平)
▽挙国体制
中国はこうした動きを強く警戒する。習近平国家主席は1月25日、スイスのシンクタンク主催の会合「ダボス・アジェンダ」で「小サークルをつくり新冷戦を行えば、世界を分裂や対抗に向かわせるだけだ」とけん制した。巨大な消費市場をバックに環太平洋連携協定(TPP)参加を視野に入れるほか、EUとの投資協定実現を急ぎ、経済のデカップリング(切り離し)阻止を図る。
中国共産党中央政策研究室の江金権主任は党機関紙への寄稿で「西側諸国の技術や部品に依存する状況から脱却する必要がある」と強調。「挙国体制」で重要技術の国産化を進め、包囲網に備えるべきだと訴える。
中国は輸出管理法の制定やレアアースの管理強化といった対抗策も整備している。自国の利益を損なった外国企業には制裁や賠償請求を行うことができるようになり、日本企業が米国に従って中国企業との取引を止めれば、中国から報復を受ける恐れがある。
最終更新日:2/8(月)13:04 47NEWS