次世代半導体の開発を目指すラピダスが、年内にアメリカの西海岸で新たな事業所を開設することがテレビ東京の取材で分かった。ラピダスの小池淳義社長が日本時間午前4時ころ、訪問先のアメリカで取材に応じ、「最初はシリコンバレーのお客様が多くなるので、本格的なビジネス拠点を作ることは極めて重要」などと語った。
ラピダスは現在、アメリカのニューヨーク州のIBMの研究開発拠点で、IBMとともにおよそ200人体制で最先端の2ナノメートル(ナノは10億分の1)の半導体の開発を進めている。現在まで開発状況は「順調に進んでいる」(小池社長)とし、来年末までにアメリカで製造に向けた技術を確立した後、2025年から北海道千歳市の生産拠点で試作ラインを立ち上げ、2027年に世界初の量産開始を目指す。
今回ラピダスがアメリカの西海岸で新たに拠点を構える背景には、シリコンバレーに本社を構えるGoogleやAppleなどGAFAMと呼ばれる巨大IT企業を将来の顧客に見据えていることがある。顧客のニーズを企画・設計段階から汲み取り、スピーディーに開発・製造につなげるには、アメリカでマーケティング拠点を設立することが欠かせないと判断した。また、シリコンバレーにはNVIDIAをはじめとするAIの設計企業の多くも拠点を構えており、AI半導体の受託製造も視野に入れるラピダスにとって、西海岸に進出するメリットは大きい。IBMからの技術供与が順調に進む中、アメリカで幅広い顧客との接点を増やしたい考えだ。
ラピダスの小池社長は日本時間午後5時から、同じくアメリカを訪問中の西村経済産業大臣とともにアメリカのAI・半導体企業の首脳らと懇談する予定で、その場でアメリカ進出の考えを明かすとみられる。
最終更新日:11/14(火)8:45 テレ東BIZ