後発薬大手の沢井製薬(大阪市淀川区)は23日、胃炎・胃潰瘍(かいよう)治療薬の品質を確認するための試験で不正を行っていたと発表した。同社は、発表に先立って今年7月から使用期限内の薬を自主回収していた。現時点で健康被害の報告はないとしている。同日の記者会見で木村元彦社長は「製薬会社としての信用、信頼を損ねる行為で、責任を重く受け止めている」と陳謝した。
不正が確認されたのは同社の九州工場でつくっていた胃炎・胃潰瘍治療薬、テプレノンカプセル(50ミリグラム)の「サワイ」。
発表によると、医薬品の品質が担保されているかを確認する安定性モニタリングの溶出試験において、2015年以降、カプセルから内容物の顆粒(かりゅう)を取り出して別の新しいカプセルに詰め替え、詰め替え後の検体の溶出試験を実施し、合否判定を行っていたという。
今年4月、同工場の品質管理課に配属となり半年程度の試験担当者がカプセルが溶解せず、薬の成分が定められた基準値まで溶け出さないことに気付いた。調査したところ、別の担当者が以前からカプセルを詰め替えて不適切試験を実施していたと証言。6月から専門家や弁護士らによる特別調査委員会が調べ、今月20日、同社に報告書を提出していた。
報告書は、この検査不正の原因について「九州工場において品質管理に責任を負う上層部が、安定性モニタリングや逸脱管理につき、責任者としての自覚を欠いた杜撰(ずさん)な対応を行い、品質管理や法令遵守(じゅんしゅ)を軽視していたことにある」と指摘した。
最終更新日:10/24(火)10:26 朝日新聞デジタル